日常生活におけるバランスをどのように評価すればいいのか

はじめに

日常生活におけるバランスをどのように評価するのかについて解説します。
心身機能レベルではなく,活動・参加レベルでのバランス評価ともいえます。
どのレベルでも基本的な考え方は同じですが,日常生活ならではの視点があります。

実行状況の評価

実生活での実行状況(している ADL など)の評価は必須です。
治療場面での評価だけではいけません。
なぜなら,理学療法では実行状況を変えることが目標であり,治療場面でできることが実生活の環境ではできなくなることもあるからです。

日内変動,日差変動を見落とさないようにすることが重要です。
暗くなるとバランス能力が低下したり,体調によってバランス能力が変わるというのはよくあることです。
また,平常時以外も評価します。
例えば,孫が遊びに来たときにはついつい無理をしまうということがあるのですが,そのような状況でのバランスも評価します。

安全性(転倒)のとらえ方

転倒の回数や,転倒しそうになった回数だけでは安全性を表すことはできません。
以下のような,転倒に関連した要素を持っているけれど,意外と安全に暮らしているという状態も捉えます。

  • 転倒しても怪我はしない。
  • 転倒しそうになるが転倒しない。
  • 転倒するような場面がない。
  • 転倒しそうになる前に避けることができる。

本人の感じ方,考え方

バランスの低下を本人がどの程度自覚しているかによって,日常生活での安全性は変わってきます。

例えば,バランス能力が低下していることに気付いていなければ,危険な動作を無造作に行ってしまい,安全性はさらに低下してしまいます。
あるいは,バランス能力を実際よりも低く感じていれば,歩けるのに歩こうとしないということがおこります。

動かなければ転倒することはありませんが,もちろんそういうわけにはいきません。
生活するということは必ず転倒のリスクを伴います。
どの程度のリスクなら許せるかは,人によって感じ方や考え方が異なります。

本人の感じていること,考えていることを積極的に評価することが求められます。

日常生活の課題の分類1)

日常生活の課題を以下の要素で分類することができます。

  • 自己の身体の状態
    • 保持
    • 移動
  • 外部操作(主には手による操作)
    • なし
    • あり
  • 実行空間の状態
    • 静止
    • 動的(支持面が動いたり,動く物をとったりする)
  • 試行間変動(操作する対象や実行空間の動きが不規則)
    • なし
    • あり

これらの要素の組み合わせで,課題を 16 通りに分類できます。

そして,各要素を変えることで新たな課題を作ることができます。
例えば,立位でポケットの中からハンカチを出すという課題は,自己の身体の状態は保持,外部操作はあり,実行空間の状態は静止,試行間変動はなしの課題です。
自己の身体の状態を移動に変えて,歩いてポケットの中からハンカチを取り出すという課題を作ることができます。

バランスの評価では,ある課題(動作)を実用的に行えることが分かったら,次はもう少し難しい課題(動作)を評価するというように,新たな課題を次々と考えていくことが求められます。
課題を分類する要素を覚えていれば,新たな課題を考えやすくなります。

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おわりに

今回の記事は,どちらかというと実習生を意識して書きました。

バランス評価のコツは,日常生活への視点を忘れないことだと,私は思っています。

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参考文献

1)内山靖: バランスと姿勢・活動. PT ジャーナル. 2002; 36: 223-232.

2021年4月13日

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