バランスの評価は難しいですよね。
学生の時や新人の頃は,バランスの評価をしようと思っても,具体的なイメージとか全体像がなく,姿勢保持の検査や外乱負荷応答の検査はするものの,治療には反映できなかったりしていました。
バランスの評価をするときに,私がイメージしていることを言葉にしてみました。
バランスの評価とは,リスクを管理しながら,実生活を考慮して,必要な姿勢・動作を,静的姿勢保持,外乱負荷応答,随意運動の3つの場面で,出来高(量的側面),過程(質的側面),実用性の観点でみて,さらに関連する心身機能・身体構造を調べることである。
そして,バランスを評価した結果,現状と今後の見通しを説明し,理学療法プログラムを提案することになります。
自分が行なっている評価がどれにあたるのかを考え,抜けているものはないかを考えるといいでしょう。
例えば,ロンベルク試験は,立位の静的姿勢保持における感覚の使い方を評価しています。
過程(質的側面)の評価であると同時に,深部感覚障害や前庭機能障害といった関連する心身機能の評価でもあります。
その他の要素はみていませんが,実用性の観点でみようと思っていれば,動揺が実際の生活で転倒につながるかという観点で観察できますし,坐位での閉眼をみてみようという発想も生まれます。
用語(各要素)の簡単な説明を書いておきます。
リスク管理は重要です。
転倒させないことはもちろんですが,転倒しなくても恐怖感は感じたりします。
信頼関係を損なうリスクを管理しなければなりません。
評価する必要のある姿勢・動作は,実生活で必要とされる姿勢・動作が中心になります。
圧中心の制御からみて,バランスを静的姿勢保持,外乱負荷応答,随意運動の3つに分類します。
静的姿勢保持は,できるだけ動かないようにすることです。
外乱負荷応答は,倒れそうになったときに元に戻そうとする働きです。
随意運動は,支持基底面を移動させることです。
出来高(量的側面)の評価では,時間や回数を測定します。
過程(質的側面)は,いわゆる動作分析とほぼ同じ意味です。
実用性というのは,実際に役に立つかどうかという評価です。
参考文献
内山靖: 平衡障害, 図解理学療法技術ガイド-理学療法臨床の場で必ず役立つ実践のすべて(第2版). 石川齊, 武富由雄(編), 文光堂, 2001, pp175-183.
2018年12月3日