歩行周期の要点〜立脚終期(ターミナルスタンス)

はじめに

歩行周期における立脚終期(ターミナルスタンス,terminal stance,TSt)の定義,働き,関節の角度,筋の活動などについて,大事なところをまとめます。

歩行周期(ランチョ・ロス・アミーゴ方式)の全体についてはこちらの記事をご覧ください。

定義

始まり(31% GC):観察肢の踵が床から離れた瞬間
終わり(50% GC):反対側の初期接地(イニシャルコンタクト)

GC は gait cycle(歩行周期)の略

主な機能

単下肢支持期の後半です。

主な機能は

  • 身体を支持足より前に運ぶ
  • 下肢と体幹の安定性の確保

です。

前方への動きは,フォアフットロッカーが担います(ロッカーファンクションについてはこちら)。

肢位と運動範囲

概要

踵が上がり,股関節は伸展し,トレイリング姿勢になります(トレイリング姿勢についてはこちら)。

距腿関節

背屈 7.7°(31% GC)→ 背屈 10.7°(43% GC)→ 背屈 10.7°(45% GC)→ 背屈 8.2°(50% GC)

踵は 3.5 cm 上昇しますが,距腿関節は背屈していきます。
45% GCから底屈に転じ,次の前遊脚期に続きます。

距骨下関節

外反 2° まで内反します。
距骨下関節の内反で横足根関節はロックされ,前足部での支持が行いやすくなります。

中足趾節関節

21° 背屈します。

膝関節

屈曲 5.1°(31% GC)→ 屈曲 3.2°(37% GC)→ 屈曲 3.2°(38% GC)→ 屈曲 12.2°(50% GC)

わずかに伸展した後,屈曲が始まり,次の前遊脚期に続きます。

大腿

股関節ではなく大腿の角度(静止立位を基準とした大腿の位置)です。

伸展 6.1°(31% GC)→ 伸展 19.2°(50% GC)

50% GC での大腿の伸展 19.2° は,股関節の伸展 9.6°,骨盤前傾 3〜7°,骨盤後方回旋 5° が合わさったものです。

骨盤

最大後方回旋(5°)が起こります。

筋の働き

距腿関節

身体重心が前方に移動して落下することにより,背屈方向のモーメントは最大になります。
底屈筋群の活動は最大になります。
最大活動が生じるのは,ヒラメ筋は 43% GC,腓腹筋は 40% GC,長趾屈筋は 47% GC,長母趾屈筋は 49% GC,後脛骨筋は 44% GC,長腓骨筋は 41% GC,短腓骨筋は 46% GC です。
床反力は 47% GC で最大になります。

距骨下関節

距腿関節底屈筋群は,距骨下関節に対しては外反筋群と内反筋群に分かれます。
それらがバランスよく働く必要があります。

長腓骨筋は第1中足骨底に停止しており,第1中足骨を固定する働きもあります。

中足趾節関節

床反力ベクトルが中足骨頭に達すると,中足趾節関節が背屈して踵が挙上します。
この時,距腿関節底屈筋群が十分に働いていなければ,距腿関節が不安定となり,フォアフットロッカーが維持できません。

中足趾節関節を制御するため,足趾の屈筋群が働きます。

中足趾節関節が背屈することで足底腱膜による巻き上げ機効果(windlass effect)が働きます。

膝関節

床反力ベクトルは膝関節の前方を通過しますので,伸展モーメントが生じます。
また,下腿の動きが制限されたうえで身体が前進していますので,膝関節は受動的な力によって伸展します。
膝関節伸筋群は活動しません。

膝関節屈筋群が過伸展を防ぐために働きます。

踵が挙上してくると,膝関節が床反力ベクトルの前方に移動し,膝関節は屈曲に転じます。

股関節

身体重心は前足部の直上から大きく前方へ移動し,床反力ベクトルは股関節の後方になります。
その結果,伸展モーメントが発生します。
股関節は伸展していくのですが,股関節伸筋群は活動しません。

股関節過伸展を制限するため,股関節屈筋として長内転筋が立脚終期後半に活動します。
長内転筋の最大活動は 50% GC で起こります。
大腿筋膜張筋も股関節屈筋として活動きます。
大腿筋膜張筋は股関節外転筋としても活動します。
身体重心が中央に向かって動くことで股関節外転が生じていますので,股関節外転筋は大腿筋膜張筋だけで十分です。

身体重心の自由落下

31% GCで重心はもっとも高いところにありますので,遊脚終期では身体重心は落下していきます。
それが推進力になります。

おわりに

立脚終期は,フォアフットロッカーが生じることと,距腿関節の底屈筋群が強く活動することがポイントになります。

参考文献

1)月城慶一, 山本澄子, 他(訳): 観察による歩行分析. 医学書院, 2006.
2)武田功(統括監訳): ペリー 歩行分析 原著第2版 -正常歩行と異常歩行- .医歯薬出版, 2017.

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2020年10月24日

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