歩行周期の要点〜荷重応答期(ローディングレスポンス)

はじめに

歩行周期における荷重応答期(ローディングレスポンス,loading response,LR)の定義,働き,関節の角度,筋の活動などについて,大事なところをまとめます。

歩行周期(ランチョ・ロス・アミーゴ方式)の全体についてはこちらの記事をご覧ください。

定義

始まり(2% GC):初期接地
終わり(12% GC):反対側の足が地面から離れた瞬間

GC は gait cycle(歩行周期)の略

主な機能

初期接地とともに,最初の両下肢支持期を構成します。
両下肢支持といっても,体重は急速に移動していっており,荷重の受け継ぎが行われます。

主な機能は

  • 衝撃吸収
  • 荷重を受け継ぎつつ安定性を確保
  • 前進の維持

です。

衝撃吸収は膝関節が主要な役割を担います。

推進力を増大させる重要なメカニズムはヒールロッカーです(ロッカーファンクションについてはこちら)。
荷重応答期はヒールロッカーが行われる相と言ってもいいでしょう。

肢位と運動範囲

概要

足底が床に近づきながら,膝関節が約 20° 屈曲し,反対側の骨盤が 4° 落下します。

距腿関節

底屈 4.1°(2% GC)→ 底屈 5.7°(5% GC)→底屈 0.1°(12% GC)

初期接地に続いて荷重応答期でも底屈していきます。
5% GC 以降は背屈に転じ,12% GC でほぼ中間位に戻ります。
距腿関節が背屈に転じますが,足底は引き続き床に近づいていきます。
これは脛骨が前傾しているということです。

距骨下関節

回内(踵骨 5° 外反)位となります。
しかし文献2)には「最大の外反が起こる頃には(20%GC で5°外反)」とも書かれており,距骨下関節の動きははっきりしません。

膝関節

屈曲 8.0°(2% GC)→ 屈曲 17.9°(11% GC)→ 屈曲 17.8°(12% GC)

荷重応答期の終わりまでに,膝関節および下肢全体はともに最大内旋位となります。
膝関節の内旋角度は4〜8° です。

大腿

股関節ではなく大腿の角度(静止立位を基準とした大腿の位置)です。

屈曲 21.7°(2% GC)→ 屈曲 17.2°(12% GC)

わずかに伸展します。

荷重応答期の終わりに大腿の最大内旋位となります。

骨盤

5° 前方回旋位のままです。

前額面で遊脚側が 4° 下降します。

筋の働き

距腿関節

床反力ベクトルが足関節の後方を通るので,底屈方向のモーメントが生じます。
これに対して背屈筋群である前脛骨筋,長趾伸筋,長母趾伸筋が働きます。
底屈を制動することで衝撃吸収が行われます。
また,背屈筋群が働くことで,足部だけが落ちていくのでなく,下腿が引っ張られて前進します(ヒールロッカー)。

床反力ベクトルは前方に移動していくので,底屈方向のモーメントは小さくなっていきます。

距骨下関節

初期接地の時と同じで,踵と床の接点は距骨下関節の外側にあり,踵骨が外反します。
前脛骨筋と後脛骨筋が外反を抑制します。
そして,抑制されながら外反することで,衝撃を吸収します。
後脛骨筋の活動は 3% GC で最大となります。

距骨下関節の外反は他の関節に影響を及ぼします。
距骨下関節が外反することで横足根関節の固定が解除されます。
前足部接地の衝撃は. 横足根関節の背屈で吸収します。
また,距骨下関節外反によって脛骨が内旋します。
脛骨が内旋すると,膝関節のロックが外れます。

膝関節

床反力ベクトルは膝関節の後方を通るため,屈曲モーメントが生じます。
また,ヒールロッカーで下腿が前に出ますが,大腿よりも下腿が先に前に出ることになり,膝関節はより屈曲しやすくなります。
膝が屈曲しすぎないよう膝関節伸筋が働き,それが衝撃吸収になります。
大腿四頭筋の広筋群の活動は 6% GC で最大になります。
大腿直筋は股関節屈曲作用があるため活動しません。
大殿筋上部線維は腸脛靭帯を介して膝を伸展します。

12% GCで膝を屈曲させるような力は働かなくなります。

膝関節に対する内転モーメントが立脚期すべてにわたり発生しますが,荷重応答期で最も顕著になります。
これに対して腸脛靱帯が抵抗します。

股関節

床反力ベクトルは股関節の前方にあり,股関節屈曲モーメントが生じます。
股関節伸筋としては,単関節筋である大殿筋下部線維と大内転筋が主に働きます。
大殿筋下部線維は 3% GC で最大強度になります。
ヒールロッカーで下腿が前進しますが,大腿四頭筋の働きにより,大腿も引っ張られて前進します。
その結果,股関節は伸展します。

床反力ベクトルは股関節の内側にあり,股関節内転モーメントが生じます。
中殿筋,小殿筋,大殿筋上部線維,大腿筋膜張筋が働きます。
非荷重側の骨盤が落下しますが,これが衝撃吸収になります。
中殿筋は 6% GC で最大強度になります。
大殿筋上部線維は 3% GC で最大強度になります。

おわりに

荷重応答期は名前の通りで,荷重がかかり,衝撃吸収が重要になる相だといえます。

参考文献

1)月城慶一, 山本澄子, 他(訳): 観察による歩行分析. 医学書院, 2006.
2)武田功(統括監訳): ペリー 歩行分析 原著第2版 -正常歩行と異常歩行- .医歯薬出版, 2017.

関連記事

ランチョ・ロス・アミーゴ方式の歩行周期の定義

歩行周期の要点〜初期接地(イニシャルコンタクト)
歩行周期の要点〜立脚中期(ミッドスタンス)
歩行周期の要点〜立脚終期(ターミナルスタンス)
歩行周期の要点〜前遊脚期(プレスイング)
歩行周期の要点〜遊脚初期(イニシャルスイング)
歩行周期の要点〜遊脚中期(ミッドスイング)
歩行周期の要点〜遊脚終期(ターミナルスイング)

その他の歩行に関する記事の一覧はこちら

2020年10月21日

コメント

タイトルとURLをコピーしました