歩行周期の要点〜前遊脚期(プレスイング)

はじめに

歩行周期における前遊脚期(プレスイング,pre-swing,PSw)の定義,働き,関節の角度,筋の活動などについて,大事なところをまとめます。

歩行周期(ランチョ・ロス・アミーゴ方式)の全体についてはこちらの記事をご覧ください。

定義

始まり(50% GC):反対側の初期接地(イニシャルコンタクト)
終わり(62% GC):観察肢のつま先が床から離れた瞬間

GC は gait cycle(歩行周期)の略

前遊脚期
図 1: 前遊脚期

主な機能

2回目の両下肢支持期です。
前方にある下肢へ急速に体重が移動し,荷重から解放されます。

接地しているので立脚期ですが,機能的には遊脚期の準備をしているため,前遊脚期という名前になっています。

主な機能は

  • 遊脚期のために下肢のアライメントを調整
  • 遊脚期のために下肢の前進を加速

です。

前方への動きは,トウロッカーが担います(ロッカーファンクションについてはこちら)。

肢位と運動範囲

概要

トレイリング姿勢が緩んでいきます(トレイリング姿勢についてはこちら)。
トウロッカーによって,膝が前に出ていきます。

距腿関節

背屈 8.2°(50% GC)→ 底屈 17.4°(62% GC)

距骨下関節

前遊脚期の間に距骨下関節は中間位となります。

中足趾節関節

背屈し続けて足趾離地の直前に55° 背屈位になります。

膝関節

屈曲 12.2°(50% GC)→ 屈曲 44.3°(62% GC)

遊脚期にはトウクリアランスのため膝を十分に屈曲する必要があります。

大腿

股関節ではなく大腿の角度(静止立位を基準とした大腿の位置)です。

伸展 19.2°(50% GC)→ 伸展 6.6°(62% GC)

下肢の振り出しが始まっています。

骨盤

前額面で 4° 下降します。
水平面で 5° 後方回旋位です。

筋の働き

距腿関節

免荷され,床反力ベクトルによる背屈モーメントは減少します。

ヒラメ筋は 52% GC で活動を終え,腓腹筋は 50% GC で活動を終えます。
距腿関節の底屈は,引き伸ばされていたアキレス腱の短縮(弾性反跳)によるものです。

距腿関節は底屈していくのですが,背屈筋群が遊脚期での背屈に備えて活動を始めます。
前脛骨筋は 56% GC,長趾伸筋は 57% GC,長母趾伸筋は 58% GC で活動を開始します。

膝関節

床反力ベクトルは膝関節の後方を通過します。

膝関節の屈曲は受動的なもので,膝関節屈筋群は強く活動する必要はありません。
トウロッカーで下腿が押し出されることによって膝関節は屈曲します。

膝関節屈筋としては,薄筋,縫工筋,膝窩筋が活動します。

膝関節の屈曲が強すぎる場合には大腿直筋が活動します。

股関節

股関節の屈曲は,トウロッカーと股関節屈筋群によるものです。
股関節屈筋としては,長内転筋,薄筋,縫工筋,大腿直筋が活動します。

長内転筋の活動が最大となるのは 50% GC です。

長内転筋と薄筋には身体重心が反対側へ移動し過ぎるのを防ぐ働きもあります。

おわりに

前遊脚期は加速期とも呼ばれます。
遊脚期の準備として下肢を十分に加速することが求められる相です。

あわせて読みたい

ランチョ・ロス・アミーゴ方式の歩行周期の定義(従来の用語との関連)

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歩行周期の要点〜遊脚初期(イニシャルスイング)
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歩行周期の要点〜遊脚終期(ターミナルスイング)

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参考文献

1)月城慶一, 山本澄子, 他(訳): 観察による歩行分析. 医学書院, 2006.
2)武田功(統括監訳): ペリー 歩行分析 原著第2版 -正常歩行と異常歩行- .医歯薬出版, 2017.


2021年9月17日
2020年10月26日

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