運動学

ロッカーファンクションについて(基礎編)

投稿日:2019年9月13日 更新日:

ロッカーファンクションについて最低限知っておきたいことをまとめます。
参考にした本は主に「観察による歩行分析1)」です。
ランチョ・ロス・アミーゴ(RLANRC)方式の歩行周期の用語を使って説明します。

歩くときの前方への推進力は,身体が下に落ちていく力が前方への力に変換された力です。
その変換で重要な役割を果たしているのがロッカーファンクションです。

「揺りてこ」と翻訳されていますが,「揺りてこ」という言葉は普通の国語辞典には載っていません。
馴染みがないためか,あまり使われていません。

ヒールロッカー,アンクルロッカー,フォアフットロッカーの3つがあります。
さらにトウロッカーを加える場合2)もありますが,今回は省きました。

ヒールロッカー(図1)

ヒールロッカー
図1 ヒールロッカー

イニシャルコンタクトからローディングレスポンスで起こる動きです。
踵と床の接触点を支点にして,丸い踵が転がり,足底全体が接地します。
落ちてきた踵が転がり始めるわけですから,下への動きが前への動きに変換されたことになります。

床半力作用線は足関節の後方を通りますので,足関節を底屈する力がかかります。
イニシャルコンタクトの直後に足関節は約5°底屈します。
そして,前脛骨筋が収縮しますので,足部に引っ張られるように下腿が前に移動します。

アンクルロッカー(図2)

アンクルロッカー
図2 アンクルロッカー

ミッドスタンスで起こる足関節の背屈です。
足部が床に固定され,足関節が背屈することで,下腿の前方への動きが継続します。

床反力作用線が足関節の前へ移動していきますので,足関節には背屈する力がかかっています。
その背屈を制御するのは下腿三頭筋の遠心生収縮です。

フォアフットロッカー(図3)

フォアフットロッカー
図3 フォアフットロッカー

ターミナルスタンスで起こる中足趾節関節の背屈です。
足趾が床に固定され,中足趾節関節を支点にして踵があがり,前方への動きが継続します。
さらに,身体重心は支持基底面より前にでていきますので,落下が始まります。

床反力作用線が中足骨頭までくることで,中足趾節関節での背屈が始まります。
下腿三頭筋が強く収縮し,身体を前方へ押し出すための最も強い駆動力が生じています。

参考文献

1)月城慶一, 山本澄子, 他(訳): 観察による歩行分析. 医学書院, 2006.
2)武田功(統括監訳): ペリー 歩行分析 原著第2版 -正常歩行と異常歩行- .医歯薬出版, 2017, pp19-21.

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