身体の運動力学における内力と外力

はじめに

身体の運動力学における内力と外力について簡単に説明します。
物理学(力学)との違いについても説明します。

内力 internal force とは

内力は,身体内部の組織から生み出される力です。

能動的な力と受動的な力に分かれます。
能動的な力は,筋収縮によって生まれる力です。
受動的な力は,筋の結合組織,靱帯,関節包などが伸張されて生まれる張力です。

外力 external force とは

身体の外側から作用する力です。

治療者による徒手抵抗は外力です。
また,体節や持っている荷物などに作用する重力も外力です。

物理学(力学)における内力と外力

物理学では違う意味になります。

物理学での内力は質点系の力学ででてくる概念です。
ごく簡単に説明します(正確ではありません)。
2 つ以上の物体が一体となって動いている場合に,その物体同士をつなぎとめている力が内力です。

外力は,外から働く力です。

肘関節の屈曲で考えてみましょう。

身体の運動力学では,前腕にかかる重力は外力で,肘関節屈筋による張力は内力です。

物理学では,内力は前腕と手をつなぎとめている力などになります。
そして,重力や筋収縮による張力は,前腕や手に対して外から作用する力ですので,外力になります。

おわりに

筋収縮による張力が内力と外力のどちらになるかは,文脈によって変わることになりますので,注意が必要です。

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参考文献

1)P. D. Andrew, 有馬慶美, 他(監訳):筋骨格系のキネシオロジー 原著第3版. 医歯薬出版, 2020, pp14-15.
2)橋元淳一郎: 単位が取れる力学ノート. 講談社サイエンティフィク, 2007, pp142-157.

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2021 年 8 月 23 日

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