歩行周期の要点〜遊脚終期(ターミナルスイング)

はじめに

歩行周期における遊脚終期(ターミナルスイング,terminal swing,TSw)の定義,働き,関節の角度,筋の活動などについて,大事なところをまとめます。

歩行周期(ランチョ・ロス・アミーゴ方式)の全体についてはこちらの記事をご覧ください。

定義

始まり(87% GC):観察肢の下腿が床に対して直角になった瞬間
終わり(100% GC):観察肢の足が床に触れた瞬間

GC は gait cycle(歩行周期)の略

遊脚終期
図 1: 遊脚終期

主な機能

遊脚期から立脚期への移行期です。

主な機能は

  • 下肢の前進を終える
  • 立脚期に備える

です。

肢位と運動範囲

概要

膝だけが伸展していくように見えます。
踵が接地前に 1 cm 自由落下します。

距腿関節

背屈 1.7°(87% GC)→ 底屈 2.0°(100% GC)

わずかに底屈していきますが,視覚的には 0° のままにみえます。 

距骨下関節

中間位です。

中足趾節関節

背屈していきます。

膝関節

屈曲 19.7°(87% GC)→ 伸展 0.9°(95% GC)→ 屈曲 4.7°(100% GC)

ほぼ 0° まで伸展し,その後,わずかに屈曲します。

大腿

股関節ではなく大腿の角度(静止立位を基準とした大腿の位置)です。

屈曲 23.6°(87% GC)→ 屈曲 21.0°(95% GC)→ 屈曲 21.0°(97% GC)→ 屈曲 21.6°(100% GC)

わずかに伸展して,後はほとんど変化しません。

骨盤

最大前方回旋位(5°)になります。

筋の働き

距腿関節

距腿関節背屈筋群が,初期接地での強い荷重に備えて緊張を高めていきます。

膝関節

下腿を挙上する動きに変わりますので,大腿四頭筋が働いて膝を伸展します。
大腿直筋は股関節がさらに屈曲しないようにするため活動しません。
さらに,ハムストリングスの遠心性収縮により,膝関節の伸展速度を制御し,膝関節過伸展を防ぎます。
活動が最大となるのは,半膜様筋は 88% GC,大腿二頭筋長頭は93% GC,半腱様筋は98% GC です。

股関節

ちょうどいい歩幅になるよう,股関節の屈曲は抑制されます。
そのためにハムストリングスが働きます。
ハムストリングスは股関節屈曲と膝関節伸展を同時に制御できます。

初期接地に備えて股関節伸筋が活動を始めます。
大内転筋は 92% GC から活動を始め,大殿筋下部線維は 95% GC から活動を始めます。

股関節外転筋も初期接地に備えて活動を始めます。
中殿筋は 96% GC から,大殿筋上部線維 95% GC から活動します。

おわりに

最後に膝が伸びて遊脚期が終わり,初期接地に備えるのが遊脚終期です。

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参考文献

1)月城慶一, 山本澄子, 他(訳): 観察による歩行分析. 医学書院, 2006.
2)武田功(統括監訳): ペリー 歩行分析 原著第2版 -正常歩行と異常歩行- .医歯薬出版, 2017.

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2021 年 9 月 21 日
2020 年 10 月 30 日

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