神経学的検査

Modified Ashworth Scale の1+が分からない!

投稿日:2018年11月22日 更新日:

*この記事は疑問を提示するもので,その疑問は解決はしません。

Modified Ashworth Scale は筋緊張の評価として有名ですが,その中にどうしても分からないところがあります。
「1+」の解釈です。

まずは日本語のもの1)を引用します。

0 筋緊張の増加なし
1 筋緊張は軽度増加し,患部を伸展や屈曲したとき,引っ掛かるような感じの後にその引っ掛かりが消失するか,または,可動域の終わりにわずかな抵抗感を呈する
1+ 筋緊張は軽度増加し,可動域の1/2 以下の範囲で引っ掛かるような感じの後にわずかに抵抗感を呈する
2 可動域のほとんどで筋緊張は増加しているが,患部は容易に動かすことができる
3 筋緊張が著しく増加し,他動的に動かすことが困難な状態
4 患部は屈曲や伸展を行っても固く,動かない状態

次に原著2)のものを引用します。

0 no increase in muscle tone
1 slight increase in muscle tone, manifested by a catch and release or by minimal resistance at the end of the range of motion when the affected part(s) is moved in flexion or extension
1+ slight increase in muscle tone, manifested by a catch, followed by minimal resistance throughout the remainder (less than half) of the ROM
2 more marked increase in muscle tone through most of the ROM, but affected part(s) easily moved
3 considerable increase in muscle tone, passive movement difficult
4 affected part(s) rigid in flexion or extension

問題の1+をみていきましょう。
可動域の1/2以下の範囲となっていますが,これが分からないのです。
可動域のどこの1/2なのでしょう。

原文を前から順番に読んでみます。

「slight increase in muscle tone, manifested by a catch, 」

この部分だけ訳すと,「引っかかりとして現れる筋緊張の軽度の増加」といったところでしょうか。
筋緊張の軽度の増加があり,それを表すものが引っかかりであるということです。

*「引っかかりが明らかで」と訳している教科書がありますが,誤訳でしょうか?

次は引っかかりの説明が続きます。

「a catch, followed by minimal resistance throughout the remainder (less than half) of the ROM」

カッコを使った分は分かりづらいです。
ですので,(less than half) を外して読んでみます。

「a catch, followed by minimal resistance throughout the remainder of the ROM」

この訳は「引っかかりの後,残りの可動範囲を通してずっとわずかな抵抗感がある」としてみました。
スケールの1では引っかかりを感じてもすぐに消えて抵抗感がないのですが,1+では引っかかりの後に抵抗感が続くということです。

そして,(less than half) を戻してみるのですが,私の英語力では less than half がどこにかかるのかが分かりません。
カッコなしの文に書き換えられないとも言えます。

可動域に関しての「half」であるようです。
他に半分にするものが思いつきません。
しかし,「ずっと続くけど半分で消える」ということになり,かなり違和感があります。

さらに,可動域の半分といっても,いろんな場合がありそうです。

全可動範囲の前半ということでしょうか。
スケールの前後で,「可動域の終わり」とか「可動域のほとんど」というのがでてくるので,可動域の始めの方という連想をしてしまいます。
しかし,これでは,後半で引っかかりが生じると判定できなくなります。

引っかかりが生じた後の可動範囲の半分でしょうか。
これだと,引っかかりが全可動範囲の後ろの方で生じるほど,引っかかりの後の抵抗感が続く角度が少なくなっていきます。
不自然だと感じるのですが,絶対に間違いだという根拠は思いつきません。

引っかかりが生じたところから全可動範囲の半分の角度までというのもあります。
肘関節を伸展して肘関節屈筋の筋緊張をみる場合で説明します。
肘関節の全可動範囲は屈曲145度から伸展5度までの150度で,その半分は75度です。
肘を伸展していって,屈曲125度のところで引っかかりが生じたとしたら,その後,わずかな抵抗感が続くけれども,屈曲50度になるまでにその抵抗感はなくなるということです。
私としてはこれが自然な解釈であるように感じるのですが,屈曲70度より浅い角度で引っかかりが生じた場合,引っかかり後の抵抗感が消えるのを確認できなくなる可能性があります。
でも,全可動範囲の半分以上で抵抗感があるのではないことは分かります。

私の疑問を長々と書いてしまいました。
私がどこかでとんでもない勘違いをしているのかもしれません。
答えを知っているという方がいらっしゃいましたら,ぜひ教えていいただきたいと思っています。

参考文献

1)和田太, 蜂須賀研二: 筋トーヌス. 総合リハ. 2000; 28: 257-262.
2)Bohannon RW, Smith MB: Interrater Reliability of a Modified Ashworth Scale of Muscle Spasticity. Phys Ther. 1987; 67: 206-207.

関連記事

筋緊張に関する記事をいくつか書いています。

筋緊張とは
筋緊張とは-簡単な説明
安静時筋緊張の評価方法 – 伸展性,被動性など基本的な方法をまとめました
筋力低下と筋緊張低下の違い
一見弛緩様とは

2019年8月25日
2018年11月22日

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