はじめに
この記事では,初めて筋緊張を学ぶ人を想定し,できるだけ簡単にまとめてみようと思います。
筋緊張とは
骨格筋は常に収縮していて,引っ張る力(張力)が発生しています。
それが筋緊張です。
筋緊張の度合いは,姿勢を保ったり運動したりするのに備えて調節されます。
例えば,背臥位で休んでいるときには,筋緊張は最低限のわずかなものになります。
背臥位で休んでいるけど,指示があればすぐに起き上がらなければならない状況だとしたら,起き上がりに必要な筋群の筋緊張を高くしておき,すぐに十分な張力が得られるようにします。
全身を使って複雑な動きをしているとしたらどうなるでしょう。
運動を起こす筋以外は緩んでいてもいいのですが,緩みきっていると収縮したいときにすぐに収縮できませんので,筋緊張は高めになります。
筋緊張を実際の検査で説明すると,四肢や体幹を他動的に動かしたときの抵抗感が筋緊張です。
筋緊張の要因
筋緊張(張力)を作っている主なものは,神経によって調整される筋収縮と,筋という物質そのものの硬さです。
筋緊張の分類
安静時筋緊張
随意的な筋活動や精神的緊張がないときの筋緊張です。
姿勢筋緊張
ある姿勢を保つときの筋緊張です。
姿勢を保持するための筋収縮を筋緊張といっていいのかどうかは統一されていません。
運動時筋緊張
運動時の筋緊張です。
正常な筋緊張
筋緊張は状況に合わせて調節されます。
緊張が高すぎて可動性を妨げたり,緊張が低すぎて姿勢が崩れてしまったりせず,ちょうどいい範囲内で調節されます。
適度に変化するのが正常です。
筋緊張の異常
筋緊張亢進
筋緊張が必要以上に高くなった状態です。
痙縮と固縮があります。
痙縮とは,他動運動で速く動かしたときに抵抗感が強くなる状態です。
固縮とは,他動運動の速さに関係なく抵抗感が強くなっている状態です。
筋緊張低下
筋緊張が必要以上に低くなった状態です。
おわりに
実際の臨床に応用するためには,もっと正確に,もっと深く学ぶ必要がありますが,まずはこの記事の内容をぼんやりとイメージできれば十分だと思います。
また,筋緊張の定義は統一されていませんので,注意が必要です。
筋緊張の定義の問題点については別の記事でまとめています。
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スポンサーリンク参考文献
1)斉藤秀之, 加藤浩(編): 臨床思考を踏まえる理学療法プラクティス 筋緊張に挑む 筋緊張を深く理解し,治療技術をアップする!. 文光堂, 2015.
2)平山惠造: 神経症候学. 文光堂, 1979, pp447-494.
2019 年 5 月 13 日
2019 年 8 月 25 日
2021 年 1 月 18 日
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