脳卒中片麻痺における連合反応

はじめに

脳卒中片麻痺における連合反応について,基本的なところと理学療法との関わりについてまとめてみました。

連合反応 associated reaction とは

リハビリテーション医学大辞典1)での連合反応の定義は,「中枢性麻痺の際に現れる原始的運動反応で,体の一部の筋に強い力を働かせると,他の部注1に筋収縮または運動が誘発されること」となっています。
体の一部の随意運動にともない,他の身体部位に不随意的な筋収縮が起こる現象です。
様々なパターンがありますが,非麻痺肢での運動に伴って麻痺肢に生じる運動あるいは筋緊張の亢進を指すことが多いような気がします。

脳卒中片麻痺では以下のような連合反応が生じます2)

  • 対側性連合反応
    • 上肢
      • 非麻痺側の屈曲→麻痺側の屈曲
      • 非麻痺側の伸展→麻痺側の伸展
    • 下肢
      • 非麻痺側の内転→麻痺側の内転(と内旋)
      • 非麻痺側の外転→麻痺側の外転(と外旋)
      • 非麻痺側の屈曲→麻痺側の伸展
      • 非麻痺側の伸展→麻痺側の屈曲
  • 同側性連合
    • 上肢の屈曲→下肢の屈曲
    • 下肢の伸展→上肢の伸展

上肢では左右ほぼ対称的ですが,下肢では内外転については上肢同様に対称的で,屈伸については相反性(屈曲→伸展,伸展→ 屈曲)です。
同側性連合反応は,対側性連合反応ほど普遍的ではなく,例外も少なくありません。
下肢の内外転の連合反応は Raimiste の反応とよばれています。

麻痺肢に生じる運動は共同運動パターンで生じるのが典型的です。

麻痺肢の随意運動ができない状態でも,連合反応は生じます。

連合反応は体幹や頭部の筋収縮によっても引き起こされます。
あくび,くしゃみ,せき,いきみなどによって上肢の運動(屈筋共同運動が多い)が起こります。
リハビリテーション基礎医学3)には「最近は筋電図的にいきみなどによる腹圧・胸内圧の上昇が患側上肢の筋活動に与える影響の方が,患側上肢の筋活動からのそれよりも大きいことが観察されている」とあります。

理学療法での連合反応の解釈

反応を引き起こした運動を止めても,連合反応はすぐには消失しないことがあります。
二次的に拘縮の原因となる可能性があります。

脳卒中片麻痺患者で,連合反応が強い方が機能的予後がいいという報告があります4)
連合反応の強い群では,弱い群と比べて,Fugl-Meyer運動尺度,Barthel Index,Brunnstrom stageの値がよかったそうです。

精神的な緊張によっても連合反応が出現するとなっています5)
私は,これは連合反応ではなく,単に筋緊張が高くなっただけなのでは?と疑問に思っています。

連合反応は強い筋収縮によって生じることとあわせて考えると,連合反応が出ているということは,なんらかの過度な努力をしている可能性があるということです。
連合反応は負荷量の指標としても使えます。

脳卒中片麻痺患者に対する運動療法では,連合反応を起こすほどの運動は痙縮が強めてしまうため,そのような運動はしない方がいいとされています。
しかし,骨盤の抵抗運動時に,連合反応が生じていても,抵抗運動後に上肢の自動運動が改善,立位バランスの改善,起き上がり時間の短縮,歩行速度の改善があったとする報告があります4)

連合反応が出現することがいいことなのか,悪いことなのか,単純には言えないようです。
患者を全体的に捉え,個別の状況を捉え,総合的に判断するしかないのかなと思います。
日常生活で頻繁に行う動作においては,連合反応が強く出る動作は避けた方がいいのではと私は考えています。
筋緊張が高くなる時間が増えて,二次的な拘縮が発生しやすくなりそうです。
また,連合反応が強く出る動作は,なんらかの無理をしているということであり,転倒などのリスクが高くなりそうです。

連合運動について

連合運動という用語には様々な意味があり,注意が必要です。

リハビリテーション医学大辞典1)では,「連合反応が関節運動として現れたもの」とあります。
これだと,連合運動は連合反応の一部になり,同じ現象を指していることになります。

リハビリテーション医学大辞典1)にはもう一つの定義が載っていて,「顔面神経麻痺など,末梢性麻痺の回復過程での筋再支配の混乱によって起こるいくつかの筋の同時活動」とあります。

理学療法ハンドブック5)には別の意味が載っていて,「正常姿勢反応の許容量を超えた随意努力によって引き起こされるよく似た現象に「連合運動」がある。連合運動はまだ正常姿勢反応の発達が完成していない乳幼児が,次の発達段階に移行しているときや,知的活動や興味が先行している場面で,不器用な運動表現としてみられる。成人にでも見られるが,経験していない新しく高度な課題に取り組むときに余分な肢位変化や運動を伴う」とあります。

神経症候学を学ぶ人のために6)では,「正常な随意運動では,主作動筋の運動効果を高めるための連合運動が自動的に生じている。錐体路障害があるとこのような合目的的な正常の連合運動が消失してしまう」とあり,その連合運動の消失として,体幹大腿連合屈曲運動と Hoover 徴候をあげています。
体幹大腿連合屈曲運動とは,ベッドサイドの神経の診かた7)では協働収縮不能と呼ばれているもので,起き上がりで麻痺側下肢が高くあがってしまう現象です。
また,神経症候学を学ぶ人のために6)では共同運動も連合運動と呼んでいます。

おわりに

連合反応の機序については,それが解明されたとする文献を見つけられていません。

注釈

1)私の言葉の感覚では,「他の部」ではなく「他の部位」とする方が自然です。

参考文献

1)上田敏, 大川弥生他(編): リハビリテーション医学大辞典. 医歯薬出版, 2002.
2)上田敏: 中枢性麻痺の本態と特徴, リハビリテーション医学全書14 脳卒中・その他の片麻痺(第2版). 福井圀彦(編), 医歯薬出版, 東京, 1994, pp77-80.
3)上田敏, 千野直一, 他(編集): リハビリテーション基礎医学(第2版). 医学書院, 1994, pp126.
4)新井光男: 痙縮・固縮, 理学療法ハンドブック改訂第4版第1巻. 細田多穂, 柳澤健(編), 協同医書出版社, 2010, pp317-355.
5)神保松雄: 姿勢制御/姿勢制御機構/姿勢・運動制御, 理学療法ハンドブック改訂第4版第1巻. 細田多穂, 柳澤健(編), 協同医書出版社, 2010, pp229-253.
6)岩田誠: 神経症候学を学ぶ人のために. 医学書院, 2004, pp242-245.
7)田崎義昭, 斎藤佳雄: ベッドサイドの神経の診かた改訂17版. 南山堂, 2014, pp152.

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