せん妄と認知症との鑑別

せん妄と認知症との鑑別についてまとめました。

鑑別の重要性

せん妄の症状と認知症の症状は似ているところがあります。
どちらも記憶障害,見当識障害が生じます。
過活動型せん妄による不穏状態が,認知症の行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia : BPSD)の悪化と間違われることがあります。
低活動型せん妄と認知症のアパシーはよく似ています。
幻視はせん妄とレビー小体型認知症のどちらでも生じます。

せん妄と認知症では治療が異なります。
そして,せん妄は深刻な身体疾患によって起こっていることがあり,見落とすことは時に命に関わります。
よって,両者の鑑別は重要です。

しかし,せん妄と認知症は併存することがよくあります。
認知症があるとせん妄を起こすリスクが高くなります。
せん妄が認知症の予後を悪化させます。
BPSDとせん妄の関係ははっきり分かっていません。
せん妄と認知症は明確に鑑別できるものではないのかもしれません。

鑑別の方法

鑑別の要点を表にまとめます。

せん妄認知症
発症数時間から数日で症状が完成する徐々に生じる
日内変動大きい小さい
見当識障害時間,場所,人に対する見当識障害が同時に現れる人に対する見当識障害が出るのは重症になってから
要因なんらかの疾患,薬の副作用,物質中毒などが存在する神経病理学的過程が存在する

急性の発症で,症状が浮動性であれば,せん妄を疑うということがポイントです。

おわりに

理学療法士が,せん妄と認知症を鑑別することはありません。
しかし,せん妄を起こしているなんらかの異変を見落とさないということは,リスク管理の上で,極めて重要なことです。

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参考文献

1)福井圀彦: 老人のリハビリテーション(第4版). 医学書院, 1997, pp98.
2)三好功峰. 意識障害と痴呆との鑑別点. Clin Neurosci. 1995; 13: 666-667.
3)下田健吾: 認知症とせん妄. 認知症の最新医療. 2017; 7: 92-93.
4)野村俊明: 認知症と紛らわしい疾患の見きわめ 2 せん妄と認知症. 日本医事新報. 2017; 4862: 41-45.

2020年9月21日
2019年2月28日

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