解剖生理

後脛骨動脈の触知

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はじめに

後脛骨動脈は足の内果の後下方で触れることができます。
触れるのは比較的簡単ですが,解剖学的に少しだけ掘り下げて,理解を深めたいと思います。

後脛骨動脈の走行

後脛骨動脈は膝窩動脈の 2 つある終枝の 1 つです。
膝窩動脈がヒラメ筋腱弓の高さで前脛骨動脈と後脛骨動脈に分かれます。
後脛骨動脈は浅層のヒラメ筋と深層の後脛骨筋や長趾屈筋に挟まれて下っていきます。
下腿の下約 1 / 3 のあたりでアキレス腱の内側に現れます。
内果の後方にから屈筋支帯の下を通り,足底で内側足底動脈と外側足底動脈に分かれます。

後脛骨動脈の触知

後脛骨動脈は浅層に現れる足根管部で触知します。
深層を走る下腿部では触知できません。

足根管は内果の後下方にある,屈筋支帯に覆われた空間です。

後脛骨動脈と足根管

内果と踵骨後下端の真ん中あたりで触れることができます。
内果から踵に向かって指をずらしていくと見つけやすいでしょう。

屈筋支帯よりも近位部でも拍動を触れますが,近位部ほどより深いところを走りますので触れにくくなっていきます。
また,屈筋支帯の遠位部では足底に潜り込んでいくために触れることができません。

拍動を触れるところは後脛骨動脈が距骨の上を走っているところです。
理学療法士であれば,先に距骨を触れる練習をして,距骨を目印にして後脛骨動脈を触る方がいいかもしれません。

後脛骨動脈と併走する腱や神経がありますが,それらの方が触知しにくいため,目印にはなりません。
後脛骨筋の腱は浮き上がって見えるためすぐに見つかりますが,その浮き上がって見えるところでは後脛骨動脈は触知できません。
動脈を探す練習をする場合,神経を圧迫しすぎてしまうことがありますので,注意が必要です。

後脛骨動脈触知の意義

拍動の減弱や消失があれば,閉塞性動脈硬化症などの末梢の循環障害を疑います。
ただし,後脛骨動脈には変異があり4),触れにくいこともあります。

足関節上腕血圧比は,後脛骨動脈あるいは足背動脈で測定します。

参考文献

1)秋田恵一(訳): グレイ解剖学(原著第4版). エルゼビア・ジャパン, 2019, pp508-551.
2)金子丑之助: 日本人体解剖学下巻(改訂19版). 南山堂, 2008, pp135-138.
3)野島元雄(監訳): 図解 四肢と脊椎の診かた. 医歯薬出版, 2000, pp206.
4)金子洋子, 倉田和久, 他: 日本人下腿の動脈系の解剖学的研究. 慈恵医大誌. 1983; 98: 457-463.
5)越智淳三(訳):解剖学アトラス(第3版). 文光堂, 2001.

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