解剖生理

大腿動脈の触知

投稿日:2020年4月15日 更新日:

大腿動脈の触知について,解剖学的に少しだけ詳しくみていきましょう。

大腿動脈の触知

鼠径溝(下肢と腹部の境界)中央の下肢側で触れます。
筋にはおおわれず,皮膚,皮下組織,大腿筋膜におおわれるだけで,太い動脈ですのでわりと簡単にみつかります。

鼠径溝の位置は体脂肪の量などによって個人差があります。
鼠径靭帯(上前腸骨棘と恥骨結節を結んだ線)を目印にすれば確実です。

大腿動脈の触知
図1

大腿三角(スカルパ三角)を目印にする場合もあります。
大腿三角は縫工筋,長内転筋,鼠径靭帯で構成されますが,それらの筋,靭帯を探す方が大腿動脈を探すのより難しいかもしれません。
実際には,くぼんでいて,押さえれば指がより深く入るところで動脈を探すという感じになります。

大腿動脈の走行

外腸骨動脈が鼠径靭帯の下にある血管裂孔を通り抜けたところからが大腿動脈です。
そして,内転筋腱裂孔を通り抜けると膝窩動脈になります。

大腿三角の中を走るのですが,より正確には腸恥窩の中を走ります。
腸恥窩は腸腰筋と恥骨筋とのあいだのくぼみで大腿三角の底になります(図2)。

大腿三角と腸恥窩
図2

大腿三角よりも遠位では縫工筋の下に入るため,触知はできません。

おわりに

理学療法士であれば,動脈を触るよりも筋を触る機会の方が多いでしょう。
動脈を目印にして筋を探すという視点も大切だと思います。

図は文献1-3)を参考にして作図しています。
細かいところが正確ではない点にご注意ください。

参考文献

1)金子丑之助: 日本人体解剖学下巻(改訂19版). 南山堂, 2008, pp124-133.
2)金子丑之助: 日本人体解剖学上巻(改訂19版). 南山堂, 2002, pp348.
3)越智淳三(訳):解剖学アトラス(第3版). 文光堂, 2001, pp201.

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