自律神経系の神経伝達物質

はじめに

自律神経系の遠心路の神経伝達物質(化学伝達物質)について簡単にまとめます。

神経伝達物質が必要なところ

自律神経系の遠心路には交感神経系と副交感神経系があります。
どちらの系においても,中枢神経系から効果器(腺や内臓の筋など)に至るまでの経路は,2 つのニューロンで構成されます。
前半の,中枢神経系内に細胞体があるニューロンを節前ニューロンと呼びます。
後半の,自律神経節内に細胞体があるニューロンは節後ニューロンと呼びます。

自律神経系の遠心路の神経伝達物質としては,節前ニューロンと節後ニューロンの間でのシナプスにおける神経伝達物質と,節後ニューロンと効果器(受容体)の間でのシナプスにおける神経伝達物質があります。
別の言い方をすると,節前ニューロンが放出する神経伝達物質と節後ニューロンが放出する神経伝達物質になります。

自律神経系の神経伝達物質

自律神経系の神経伝達物質は,アセチルコリン acetylcholine(ACh)とノルアドレナリン noradrenarine(NA)の 2 つです。

ノルアドレナリンを放出するニューロン

  • 交感神経節後ニューロン

アドレナリンという言葉が一般でもよく使われ,興奮状態などを表したりします。
そして,交感神経の働きは,大雑把には身体を興奮状態にすることですので,交感神経節後ニューロンからノルアドレナリンが放出されるというのは,かなり覚えやすいと思います。
ただし,アドレナリンとノルアドレナリンは別物ですので,間違えないようにしなければなりません。

アセチルコリン(ACh)を放出するニューロン

  • 交感神経節前ニューロン
  • 副交感神経節前ニューロン
  • 副交感神経節後ニューロン

前述のノルアドレナリンを放出する交感神経節後ニューロン以外は,アセチルコリンを放出します。

交感神経節後ニューロンであるのに,例外的にアセチルコリンを放出するニューロンがあります。
汗腺支配の交感神経節後ニューロンと骨格筋の一部の血管を支配する交感神経節後ニューロンからはアセチルコリンが放出されます。

アドレナリン作動性ニューロンとコリン作動性ニューロン

ノルアドレナリン(NA)を放出するニューロンのことを,アドレナリン作動性ニューロンと呼びます。
紛らわしい名前です。
ノルアドレナリンが放出されるのにアドレナリンになっています。
これは,過去にアドレナリンが放出されると考えられていたときの名残なのだそうです。
また,名前だけからは「ノルアドレナリンで作動するニューロン」と間違って理解する可能性があります。
「ノルアドレナリンを放出するニューロン」です。

アセチルコリンを放出するニューロンは,コリン作動性ニューロンと呼ばれます。

どちらも自律神経系に限った分類ではありません。
例えば,コリン作動性ニューロンには運動神経が含まれます。

まとめ

図 1 に示します。

自律神経系の神経伝達物質
図 1: 自律神経系の神経伝達物質

おわりに

化学物質が作用するということは,薬が作用するということであり,医学的にはとても重要なところです。

この記事では神経伝達物質にテーマを絞りましたが,薬理学的には受容体とセットで考える必要があります。

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参考文献

1)岡田泰伸(監修): ギャノング生理学 原著25版. 丸善出版, 2017, pp305-319.
2)本間研一(監修): 標準生理学 第9版. 医学書院, 2019, pp416-419.

2021年8月7日

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