解剖生理

総頸動脈の触知

投稿日:2020年4月2日 更新日:

総頸動脈の触知

総頸動脈の脈拍を触れるには,頸部の下側で,中央の気管のふくらみから外側に指をずらしていくと,簡単に触れることができます。

簡単に触れることができるので,難しく考える必要はないのかもしれませんが,頸部の解剖を踏まえて触るようにすれば,いろんなことを関連づけて覚えることができます。

頸部の解剖1)

解剖学の本1)には,「総頸動脈の拍動は頸動脈三角の下角で触れることができる」とあります。
それを図1に示します(文献2を参考にして作図しました)。

図1

頸動脈三角とは,胸鎖乳突筋前縁,肩甲舌骨筋上腹,顎二腹筋後腹によって囲まれた領域です。

右の総頸動脈は腕頭動脈から分岐し,左の総頸動脈は大動脈弓から分岐します。
分岐した後,気管および食道の外側を頭部に向かって上がっていきます。
そして,胸鎖乳突筋の深部をくぐり抜けたところが頸動脈三角になります。

頸動脈三角の中では,総頸動脈の上をおおうのは頸筋膜と広頸筋だけですので,ここで触診ができるわけです。

また,総頸動脈は甲状軟骨の上縁の高さで,外頸動脈と内頸動脈に分かれますので,総頸動脈を触れるのは頸部の下側ということになります。

その他

外頸動脈と内頸動脈

総頸動脈を上(頭側)にたどっていくと,甲状軟骨の上までたどることができますが,そこでは外頸動脈と内頸動脈に分かれていて,総頸動脈ではありません。
内頸動脈はより深部を走行するので,触れるのは外頸動脈だと思いますが,そのことに触れている文献は見つけられていません。

頸動脈洞反射

総頸動脈の分岐部あるいは内頸動脈の基部は膨隆していて,頸動脈洞と呼ばれています。
頸動脈洞には圧受容器があり,血圧の調節に働きます。
この頸動脈洞を手で圧迫すると,頸動脈洞反射が起こり,徐脈や低血圧などが起こります。

頸動脈結節

第1輪状軟骨の高さで,総頸動脈の後方に第6頸椎横突起の前結節(頸動脈結節)を触れることができます3)
この頸動脈結節に対して総頸動脈を押し付けることができます。
つまり,血流を妨げることができるわけですから,注意が必要です。

頸動脈三角の筋の緊張

頸動脈三角を構成する筋が緊張していると,総頸動脈はその下に隠れるようになり,触診しにくくなります。
特に,頸部が触診する側の反対に回旋し,胸鎖乳突筋が収縮していると,総頸動脈を触れるのはかなり難しくなります。
逆に触診する側に回旋していれば,触れやすくなります。

参考文献

1)金子丑之助: 日本人体解剖学下巻(改訂19版). 南山堂, 2008, pp44.
2)金子丑之助: 日本人体解剖学上巻(改訂19版). 南山堂, 2002, pp248.
3)野島元雄(監訳): 図解四肢と脊椎の診かた. 医歯薬出版, 2000, pp102.

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