解剖生理

腎臓とは(最初に覚えること)

投稿日:2020年6月9日 更新日:

腎臓について,まず最初に覚えるべきことをまとめていきます。

腎臓の位置

図1は腎臓と骨格の関係を背面からみた図です。

腎臓と骨格の関係(背面)
図1

第12肋骨が腎臓の上 1/3 と中 1/3 の境界を斜めに走ります。

腎臓の上端は,第12胸椎の上縁の高さにあります。
また,下端は,第3腰椎上縁から第4腰椎上縁のあいだにあります。

次の図2は前から見た図で,肝臓や血管との関係を示しています。

腎臓と肝臓,血管との関係(前面)
図2

右の腎臓の上に大きな肝臓があるため,右の方が少し低くなっています。

図3は第3腰椎の高さでの体幹の水平断面です。

体幹水平断面(第3腰椎の高さ)
図3

図では多くの臓器を省略しています。
ポイントは一番後ろにあるということです。
腎臓は背中にあると言ってもいいかもしれません。

泌尿器全体での腎臓の位置も確認しておきましょう(図1,2)。
腎臓で作られた尿は,尿管を通って膀胱にいき,膀胱にたまった尿は尿道から排出されます。

腎臓の基本単位

腎臓は,ネフロン(図4)が集まったものです。

ネフロンの概念図
図4: 腎小体は断面図とした

ネフロンは腎小体と尿細管からなります。

腎小体は糸球体(毛細血管の束)とそれを包むボーマン嚢でできています。

尿細管は,近位尿細管,ヘンレのワナ,遠位尿細管の3つに区別されます。

腎臓の血管

腎臓が働くためにはネフロンだけでなく血管が必要です(図2,図5)。

ネフロンと血管
図5

腹大動脈から分岐した腎動脈が腎臓に入ります。
血管は分岐していき,輸入細動脈となって腎小体に入ります。
腎小体からは輸出細動脈が出ていきます。
そして,毛細血管網になって尿細管の周りを通ります。
血管は静脈となって集合していき,最後は腎静脈で下大静脈に戻ります。

腎臓の働き

腎臓は血液から尿を作ることで,尿中に不要な物質を排泄します。
もう少し具体的にいうと,体内の水分量と電解質組成の調整,酸塩基平衡の調節(酸・アルカリの排泄),タンパク質代謝産物(尿素,クレアチニン)の排泄を行います。
また,広義のホルモン(エリスロポエチンなど)を産生・分泌します。

尿ができる過程

糸球体濾過

腎小体で血液が濾過されて原尿ができます。
血球成分と大きなタンパク質以外のものは水とともに,血液から出ていくことになります。

尿細管再吸収

原尿から必要なものを吸収し,尿細管の周りを走行する血管に戻します。

尿細管分泌

尿細管再吸収とは逆方向の流れで,血液から不要なものを尿の中に排出します。

以上の過程を経て作られた尿は,集合管を通って集められます。

おわりに

学生を想定し,腎臓についての全体像をイメージできるよう,細かいところは省きました。

解剖学,生理学の授業はかなりのスピードで進んでいきますので,簡単なところが逆に分からないということがたまに起こります。
そんなとき,この記事がお役にたてば幸いです。

参考文献

1)金子丑之助: 日本人体解剖学下巻(改訂19版). 南山堂, 2008, pp369-379.
2)越智淳三(訳): 解剖学アトラス(第3版). 文光堂, 2001, pp342-347.
3)岡田泰伸(監修): ギャノング生理学 原著25版. 丸善出版, 2017, pp793-820.
4)本間研一(監修): 標準生理学 第9版. 医学書院, 2019, pp757-778.

関連記事

腎臓で作られるエリスロポエチンについて以下の記事でまとめています。
エリスロポエチンとは

2020年6月9日

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