腎臓とは(最初に覚えること)

腎臓について,まず最初に覚えるべきことをまとめていきます。

腎臓の位置

図1は腎臓と骨格の関係を背面からみた図です。

腎臓と骨格の関係(背面)
図 1

第12肋骨が腎臓の上 1/3 と中 1/3 の境界を斜めに走ります。

腎臓の上端は,第12胸椎の上縁の高さにあります。
また,下端は,第3腰椎上縁から第4腰椎上縁のあいだにあります。

次の図2は前から見た図で,肝臓や血管との関係を示しています。

腎臓と肝臓,血管との関係(前面)
図 2

右の腎臓の上に大きな肝臓があるため,右の方が少し低くなっています。

図3は第3腰椎の高さでの体幹の水平断面です。

体幹水平断面(第3腰椎の高さ)
図3

図では多くの臓器を省略しています。
ポイントは一番後ろにあるということです。
腎臓は背中にあると言ってもいいかもしれません。

泌尿器全体での腎臓の位置も確認しておきましょう(図1,2)。
腎臓で作られた尿は,尿管を通って膀胱にいき,膀胱にたまった尿は尿道から排出されます。

腎臓の基本単位

腎臓は,ネフロン(図4)が集まったものです。

ネフロンの概念図
図4: 腎小体は断面図とした

ネフロンは腎小体と尿細管からなります。

腎小体は糸球体(毛細血管の束)とそれを包むボーマン嚢でできています。

尿細管は,近位尿細管,ヘンレのワナ,遠位尿細管の3つに区別されます。

腎臓の血管

腎臓が働くためにはネフロンだけでなく血管が必要です(図2,図5)。

ネフロンと血管
図5

腹大動脈から分岐した腎動脈が腎臓に入ります。
血管は分岐していき,輸入細動脈となって腎小体に入ります。
腎小体からは輸出細動脈が出ていきます。
そして,毛細血管網になって尿細管の周りを通ります。
血管は静脈となって集合していき,最後は腎静脈で下大静脈に戻ります。

腎臓の働き

腎臓は血液から尿を作ることで,尿中に不要な物質を排泄します。
もう少し具体的にいうと,体内の水分量と電解質組成の調整,酸塩基平衡の調節(酸・アルカリの排泄),タンパク質代謝産物(尿素,クレアチニン)の排泄を行います。
また,広義のホルモン(エリスロポエチンなど)を産生・分泌します。

尿ができる過程

糸球体濾過

腎小体で血液が濾過されて原尿ができます。
血球成分と大きなタンパク質以外のものは水とともに,血液から出ていくことになります。

尿細管再吸収

原尿から必要なものを吸収し,尿細管の周りを走行する血管に戻します。

尿細管分泌

尿細管再吸収とは逆方向の流れで,血液から不要なものを尿の中に排出します。

以上の過程を経て作られた尿は,集合管を通って集められます。

おわりに

学生を想定し,腎臓についての全体像をイメージできるよう,細かいところは省きました。

解剖学,生理学の授業はかなりのスピードで進んでいきますので,簡単なところが逆に分からないということがたまに起こります。
そんなとき,この記事がお役にたてば幸いです。

参考文献

1)金子丑之助: 日本人体解剖学下巻(改訂19版). 南山堂, 2008, pp369-379.
2)越智淳三(訳): 解剖学アトラス(第3版). 文光堂, 2001, pp342-347.
3)岡田泰伸(監修): ギャノング生理学 原著25版. 丸善出版, 2017, pp793-820.
4)本間研一(監修): 標準生理学 第9版. 医学書院, 2019, pp757-778.

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2020年6月9日

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