はじめに
上腕骨に付着する筋についてまとめます。
一覧を示し,さらに部位別に分類します。
上腕骨に付着する筋の一覧
- 広背筋:小結節稜
- 大胸筋:大結節稜
- 三角筋:三角筋粗面
- 棘上筋:大結節
- 棘下筋:大結節中央部
- 小円筋:大結節
- 大円筋:小結節稜
- 肩甲下筋:小結節,小結節稜
- 烏口腕筋:上腕骨内側面中央部で小結節稜の延長線上
- 上腕筋:上腕骨前面で三角筋停止部下方
- 上腕三頭筋:上腕骨後面橈骨神経溝下内側方(内側頭),上腕骨後面橈骨神経溝上外側方(外側頭)
- 肘関節筋:上腕骨内側上顆
- 肘筋:上腕骨外側上顆
- 円回内筋(上腕頭):上腕骨内側上顆
- 橈側手根屈筋:内側上顆
- 長掌筋:内側上顆
- 尺側手根屈筋(上腕頭):内側上顆
- 浅指屈筋(上腕尺骨頭):内側上顆
- 腕橈骨筋:上腕骨外側縁下部
- 長橈側手根伸筋:上腕骨外側縁(腕橈骨筋下方),外側上顆
- 短橈側手根伸筋:外側上顆
- 総指伸筋:外側上顆
- 小指伸筋:外側上顆
- 尺側手根伸筋(上腕頭):外側上顆
- 回外筋:外側上顆
小指伸筋の起始は,日本人体解剖学1)では小指伸筋筋膜となっており,総指伸筋の下部から分かれるとなっています(小指伸筋筋膜の説明はありません)。
骨格筋の形と触察法2)では,「小指伸筋の筋束は,小指伸筋と総指伸筋との間, 小指伸筋と尺側手根伸筋との間の筋膜から始まる.この筋膜は,総指伸筋と尺側手根伸筋との間の腱膜となり,上腕骨の外側上顆に続く」とあります。
MMT のテキスト6)では,「伸筋共同腱,筋間中隔,前腕筋膜」です。
つまり,外側上顆に付着しているようにはみえないことがあるということです。
肘関節筋1)は,上腕三頭筋腱の深層にある小さな筋ですが,欠如することもあり,解剖学等のテキストには載っていないことが多い筋です。
肘関節に作用する筋の総称として肘関節筋ということがありますが,筋名としての肘関節筋と紛らわしくなります。
付着部位での分類
小結節
- 肩甲下筋
小結節稜
- 肩甲下筋
- 広背筋
- 大円筋
大結節
- 棘上筋
- 棘下筋
- 小円筋
大結節稜
- 大胸筋
上腕骨体
- 三角筋:三角筋粗面(上腕骨体のほぼ中央部外側前面)
- 上腕筋:上腕骨前面で三角筋停止部下方
- 烏口腕筋:上腕骨内側面中央部で小結節稜の延長線上
- 上腕三頭筋外側頭:上腕骨後面橈骨神経溝上外側方
- 上腕三頭筋内側頭:上腕骨後面橈骨神経溝下内側方
- 腕橈骨筋:上腕骨外側縁下部
- 長橈側手根伸筋:上腕骨外側縁で腕橈骨筋停止部の下方)
内側上顆
- 肘関節筋
- 円回内筋(上腕頭)
- 橈側手根屈筋
- 長掌筋
- 浅指屈筋(上腕頭)
- 尺側手根屈筋(上腕頭)
外側上顆
- 長橈側手根伸筋
- 短橈側手根伸筋
- 総指伸筋
- 小指伸筋
- 尺側手根伸筋(上腕頭)
- 肘筋
- 回外筋
こちらもおすすめ
他の骨に付着する筋についてはこちらをご覧ください。
スポンサーリンク参考文献
1)金子丑之助: 日本人体解剖学上巻(改訂19版). 南山堂, 2002.
2)河上敬介, 磯貝香(編): 骨格筋の形と触察法(改訂第2版). 大峰閣, 2013.
3)越智淳三(訳): 解剖学アトラス(第3版). 文光堂, 2001.
4)秋田恵一(訳): グレイ解剖学(原著第4版). エルゼビア・ジャパン, 2019.
5)中村隆一, 斎藤宏, 他:基礎運動学(第6版補訂). 医歯薬出版株式会社, 2013.
6)津山直一, 中村耕三(訳): 新・徒手筋力検査法(原著第10版). 協同医書出版社, 2022.
2021 年 5 月 3 日
コメント