肘関節伸展の MMT の疑問点

Daniels らの徒手筋力テスト1)(MMT)における肘関節伸展の検査についての疑問点を書きます。

肘関節は軽度屈曲位?

段階 4 と 5 で抵抗をかけるときに肘関節を軽度屈曲位にするのかどうかが不明確です。

テスト動作としては,「患者は可能な可動域の最終点まで,すなわち前腕が床に対して水平の位置に来るまで,肘関節を伸展する。抵抗を加えるとき,患者が肘を過伸展し,肘をロック(lock)することがないようにする」と書いてあります。

患者への指示は「肘をまっすぐ伸ばしなさい。その位置を保ち,私が屈曲しようと力を加えても負けないように」です。

そして,段階 5 の段階づけの説明には「可能な可動域を動かし,最大の抵抗に対しても伸展位をしっかり保つ」と書いてあります。

抵抗をかけているときの図は,図 1 のようになっています。

肘関節伸展のMMT,段階5と4の抵抗
図 1

以上の説明を読めば,肘関節伸展 0° で抵抗をかけることになりそうです。

しかし,テキストの肘関節伸展の最後に「参考になるヒント」というボックスがあります。
そこには,「段階 5 や 4 の際の抵抗は,肘関節を軽度屈曲位として加える」とあります。

さらに,付録の DVD を見てみると,軽度屈曲位で抵抗をかけています。
被験者に対して,伸展した後に「少し力を抜いて」と指示を出して,肘関節を屈曲位にしています。

おかしいですよね。
抵抗をかけるときには,肘関節伸展 0° にするのか,軽度屈曲位とするのか,どっちなのでしょう?

国家試験では

第54回理学療法士国家試験午前問題25で出題されています。

関節可動域が正常な患者に対し、Daniels らの徒手筋力テストの段階 5 の検査で、軽度屈曲位で抵抗を加えるのはどれか。
1. 肩関節伸展
2. 肘関節伸展
3. 手関節伸展
4. 股関節伸展
5. 頸部複合伸展

答えは 2 になっています。

国家試験では紛らわしいところは出題しにくいでしょうから,この問題を作った方は,軽度屈曲位で抵抗をかけると確信しているはずです。
どこでそう判断したのかを教えていただきたいなあ,,,

肘関節を「ロックする」のを避ける?

もう一つ,分からないところがあります。

肘関節軽度屈曲位で抵抗を加える理由は「患者が肘を過伸展して肘関節を「ロックする」のを避けるためである」と書かれています。
これは第 9 版1)での説明で,第 8 版2)では「さもないと患者は肘を過伸展反張位にして肘関節を「不動化する,ロックする」状態にできることがありうるからである」と書いてあります。

肘をロックしてはいけないということですね。
肘をロックしてはいけない理由は明記されていないと思うのですが,「不動化する」という表現から,肘をロックすれば,肘関節伸展の筋力が低下していても,抵抗に抗することができるからという理由になりそうです。

ここまでの私の読解が正しいとして次に進みます。

いわゆる closed kinetic chain では,肘関節を過伸展位にして荷重をかければ,肘伸展筋の筋力が 0 であっても,肘伸展を保持することができます。
頸髄損傷の方の動作ですね。

しかし,MMT での運動では,そのメカニズムは働かないですよね。

どういうことなのでしょう???

おわりに

原著第 10 版がでていますが,そちらはまだ入手できていません。

「分かるよ」という方,ぜひコメントをお願いいたします。

こちらの記事もおすすめ

MMTの練習方法 – 代償動作を見つける練習
MMTの練習方法 – 段階 4 を体感する
MMTの基本 – 抵抗をかける方向

スポンサーリンク

参考文献

1)津山直一, 中村耕三(訳): 新・徒手筋力検査法(原著第9版). 協同医書出版社, 2015, pp144-148.
2)津山直一, 中村耕三(訳): 新・徒手筋力検査法(原著第8版). 協同医書出版社, 2010, pp120-124.

2020年5月16日

コメント

タイトルとURLをコピーしました