解剖生理

腕神経叢の要点を正攻法で覚える

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腕神経叢の重要なところを覚える方法です。
語呂合わせとかではなく解剖学的な位置関係を踏まえた正攻法です。

図1を見ながらお読みください。

腕神経叢の模式図
図1

神経幹

C5〜Th1から始まり,上・中・下神経幹の3幹に分かれます。
上神経幹はC5とC6,中神経幹はC7,下神経幹はC8とTh1で構成されます。
2本,1本,2本と対称的に並んでいますので,図と合わせると覚えやすいと,私は思います。

神経束

神経幹はそれぞれが前方の枝と後方の枝に分かれます。
図では前方の枝は明るい黄色,後方の枝は暗い黄色で色分けしています。

後方の枝の3本が合わさって後神経束になります。
前方の枝の上・中2本が合わさって外側神経束になります。
前方の枝の下の1本はそのまま内側神経束になります。

後ろを通る神経は後神経束

後神経束がそのまま伸びて橈骨神経になります。
後神経束からは,肩甲下神経,胸背神経,腋窩神経もでます(図では肩甲下神経と胸背神経を省いています)。
橈骨神経は上腕骨の後面にある橈骨神経溝を通ります。
腋窩神経は外側腋窩隙を通り,上腕骨外科頸の後ろから三角筋の内面に至ります。
つまり,橈骨神経も腋窩神経も上腕骨の後ろを通ります。
後ろを通る神経が後神経束から出るという,とても覚えやすい関係です。
肩甲下神経と胸背神経も大まかには後ろを通りますし,より背側の筋を支配します。

真ん中は正中神経

外側神経束と内側神経束は,それぞれが2本に分かれて4本になります。
実際にはもう少し複雑な分かれ方になりますが,今はそれは無視します。

そして中央の2本が合わさって正中神経になります。
中央だから正中神経と覚えることができます。

尺側は尺骨神経

内側神経束のもう1本の枝は尺骨神経です。

4本のうち最も尺側にある神経が手の尺側にある尺骨神経ですので,これも覚えやすい配置です。

腕神経叢の先に上肢・手があることをイメージするといいでしょう(図2)。

腕神経叢と手の関係
図2

筋皮神経

外側神経束のもう1本の枝は筋皮神経になります。

筋皮神経は烏口腕筋,上腕二頭筋,上腕筋を支配します。
当然,それらの筋に向かって走ります。

一方で,正中神経は上腕二頭筋と上腕三頭筋の間を通って,より遠位に向かいます。

そういう関係ですので,正中神経の上には筋皮神経があります。

図3は腕神経叢と上腕二頭筋の関係です。

腕神経叢と上腕二頭筋の関係
図3

「上・中・下」と「外・内」

上神経幹は外側神経束につながり,下神経幹は内側神経束につながります。
「上」が「外」に変わり,「下」が「内」に変わります。
このややこしさは,腕神経叢の位置を理解しなければスッキリしません。
神経幹は主には鎖骨より上の頸部側にあります。
頸部でみれば,腕神経叢は上下に分布しています。
神経束は鎖骨よりも下の上肢側にあります。
上肢では,上下ではなく,内外側と表現します。

図4に腕神経叢と鎖骨の関係を示します。

腕神経叢と鎖骨の関係
図4

おわりに

実際にはもっと複雑で多数の神経があるのですが,まずは大まかに覚えるのでもいいでしょう。
国家試験もそんなに細かいところは問われません。

覚え方としては,簡単な覚え方ではありません。
例えば,後神経束の説明のところでは,上腕骨の橈骨神経溝のことは既に覚えていることを前提としています。
何か一つを確実に覚えれば,それを足がかりにして別のことが覚えられます。
確実にステップアップしていくイメージです。

参考文献

1)金子丑之助:日本人体解剖学上巻(改訂19版).南山堂, 2002, pp566-591.

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2020年5月12日

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