今回の記事は主に学生(初学者)向けです。
徒手筋力検査法(MMT)を習い始めて最初に戸惑うことの一つは,段階 4 についてではないでしょうか?
段階 4 の説明として,「患者が重力に抗して全可動域位にわたり自動運動を行うことができる,しかし,最大の抵抗に対してはテストポジションを保持することができないとき1)」とあります。
ようするに段階 5 と比べるとちょっと弱いということなのですが,健常人同士で練習していても実感は得られません。
実際に段階 4 の筋力を体験していくことで,だんだんと分かってきますが,それでは不安ですよね。
そこで,臨床に出る前に健常人同士でも段階 4 を模擬的に体験できる練習方法を紹介したいと思います。
股関節屈曲(大腰筋および腸骨筋)の検査を使います。
まずは教科書通りに正しい検査を行います。
次に,被験者の上肢支持をなくして検査を行います(腕を組んでもらったりするといいでしょう)。
すると,股関節屈曲の力はびっくりするぐらい弱くなります。
でも段階 3 というわけではなく,ある程度の抵抗に対して屈曲位を保持することができます。
これは,まさしく段階 4 の抵抗感です。
右股関節は上肢支持あり,左股関節は上肢支持なしで検査してみると,右は段階 5 で左は段階 4 の筋力というときの雰囲気を感じることができます。
もちろん,これで段階 4 の全てが分かるわけではありません。
でも,こういう経験を積んでいけばなんとかなりそうだと安心することができます。
ぜひお試しください。
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参考文献
1)津山直一, 中村耕三(訳): 新・徒手筋力検査法(原著第10版). 協同医書出版社, 2022.
2019 年 4 月 26 日
2020 年 5 月 16 日
2023 年 3 月 17 日
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