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身長測定のスタンダード

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身長測定の標準的な方法を紹介します。

身長は,姿勢によって変わりますし,日内変動もありますので,測り方を統一することが重要です。
また,54回理学療法士国家試験(午後問題25)でも出題されており,どれがスタンダードであるのかを確認しておく必要があります。

平成元年に文部省から出された「一般定期健康診断検査方法の手引き1)」が広く知られているようです。

身長計

まず,身長計の部品の名前を図1で確認しましょう。

身長計
図1 1,8)

一般定期健康診断検査方法の手引き1)

職場での健康診断のマニュアルのようです。
引用します。

1. 身長計の尺柱が動揺しないようにする。

2. 被検者にはあらかじめ靴下などをぬがせる。

3. 身長計の尺柱を背にし、肩をいからせず、両腕は手掌を内側にして体側に自然にたらし、足先を三〇~四〇度に開き、背、臀部及び踵を尺柱につけて、身体の正中線が尺柱の中心線と一致するよう直立させる。

4. 膝をのばし、あごをひかせ、首をのばして、頭は正面を向かせ、傾けさせず、耳眼水平位(耳珠上縁と眼窩下縁とを結ぶ線が水平になる位置。)に固定する。

5. 検者は、被検者の右側に立ち、身長計の横規を静かに被検者の頭頂に降ろし、視線を水平に保って尺度を読み取る。姿勢を正す場合には、下部より順に正すほうがよい。測定単位はcmとし、小数点以下は一位にとどめる。

6. 測定は、日内変動の中間を示すといわれる午前一〇時ごろがよい。

児童、生徒、学生、幼児及び職員の健康診断の方法及び技術的基準の補足的事項について2)

平成27年に文部科学省よりだされたものです。
より細かく指定されていますので紹介します。

1. 被検査者の頭部を正位に保たせるには、被検査者の頭を正面に向かせて眼耳線が水平になるようにすること。すなわち、耳珠上縁と眼窩下縁とを結ぶ線が水平になるよう位置させること。この場合、後頭部は身長計に接触しなくても差し支えないこと。

2. 身長計の目盛りを読む場合には、横規を上下させて被検査者の頭頂部に軽く数回接触し、2回ないし3回同じ数値が得られたときにそれを身長として読みとること。

3. 被検査者の身長が検査者よりも高いときは、検査者は踏み台などを用いて横規が自分の眼と同じ高さになる位置において目盛りを読みとること。

耳眼水平位について

耳眼水平位とは「耳珠上縁と眼窩下縁とを結ぶ線が水平になる位置」です。

耳珠の読み方は,日本人体解剖学改訂19版3)の索引とJIS規格 Z85004)では「じしゅ」となっていて,goo辞書やweblio辞書では「じじゅ」となっています。

耳珠は耳介の一部で,耳の穴の前にある隆起です(図2)。
耳珠は2個の結節からできていて,その上のものは珠上結節と呼ばれます5)

耳介
図2 6)

その耳珠の上縁とは,常識的に考えて前切痕のところだと思います(図2)。
しかし,それを明確に説明したり図示している文献は見つかっていません。

ちなみに,JIS規格4)では耳眼面が定義されていて,「左右の耳珠点と左の眼窩点との3点で決められる面」です。
耳珠点は「耳珠(耳の孔の前,外側にある突出)の上の付け根の点」で,眼窩点は「眼窩(眼球が入っている頭骨の穴)の下縁のうち,最も下方にある点」となっています。
図では,耳珠点は前切痕のところになっています。

眼窩下縁は頭蓋の眼窩口の下縁ですから,外観からは分かりにくく,正確には触診しないと分かりません。
下縁のどこであるのかははっきりと示されていませんが,常識的に考えて,一番低いところ(眼窩点)になるでしょう。

耳眼水平位とすると,人によっては後頭部が尺柱から離れます。
しかし,身長測定では,後頭部はいつも尺柱に押し付けられているというイメージがあります。

これまで,健康診断は何度も受けていますが,頭部を水平にすることに関しては,いい加減に行われていたかもしれません。

頭部を水平にするための基準線にはいくつかバリエーションがあります。
3つを引用します。

側方から見て,耳孔と目尻を結んだ線が水平となったとき,頭部は水平位と判断する7)


耳殻上縁と眼窩下縁が水平位に並ぶ耳眼水平位をとることが大切である8)


眼高点(眼のくぼみの下縁)と,耳珠点(耳角の上縁)を結ぶ線が水平位である9)

3つめにある,眼高点という用語を見つけることができず,眼窩点の誤植かもしれません。
耳珠点は耳角の上縁ではなく,耳珠の上縁4)ですし,耳角という用語は耳殻の誤植かもしれません。

おわりに

今回紹介したものがスタンダードであるという確証はないのですが,教科書7-10)ではだいたい同じことが書いてありますので,ほぼ間違いないと思います。

そもそも,スタンダードはどれであるのかを決めるシステムは,今の理学療法の世界にはありませんからね。

参考文献

1)一般定期健康診断検査方法の手引き
2)児童、生徒、学生、幼児及び職員の健康診断の方法及び技術的基準の補足的事項について
3)金子丑之助: 日本人体解剖学下巻(改訂19版). 南山堂, 2008, pp599.
4)日本産業標準調査会
5)金子丑之助: 日本人体解剖学第二巻(第18版). 南山堂, 1992, pp380-383.
6)越智淳三(訳):解剖学アトラス(第3版). 文光堂, 2001, pp559.
7)千住秀明, 他(編). 理学療法学テキストII 理学療法評価法. 神陵文庫, 1998, pp31-32.
8)和才嘉昭, 嶋田智明: リハビリテーション医学全書5 測定と評価(第2版). 医歯薬出版, 1994, pp75-77.
9)森山英樹: 形態測定, 15レクチャーシリーズ 理学療法テキスト 理学療法評価学 I. 石川朗(編), 中山書店, 2013, pp33-42.
10)和田高士, 池田義雄: 身体測定の正しい方法-身長,体重,腹囲,体脂肪,血圧などの測定法とその意義. Medical Technology. 2009; 37: 18-22.

2020年7月3日

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