評価指標

Karnofsky Performance Scale(KPS)について

投稿日:2020年2月20日 更新日:

はじめに

カルノフスキーパフォーマンススケール Karnofsky Performance Scale(KPS)は,がん患者の Performance status を測定するものです。

Performance status は,生活機能,活動能力,全身状態などのような意味で,ぴったり当てはまる日本語訳はなさそうです。
論文1)には「通常の活動を行う能力と,介助や看護への依存度によって測定された」とあります。

論文には,KPSの表が載っているだけで,詳しい説明はありません。
表を見ただけでは分かりにくいところがいくつかありますが,説明がないので仕方ありません。

日本語訳(がんのリハビリテーション診療ガイドラインより)

がんのリハビリテーション診療ガイドライン第2版2)にある日本語訳を引用します。
日本語版作成の標準的な手順を踏んでいるのかどうかは確認できていません(日本語版作成の標準的な手順については別の記事でまとめています)。

11段階で,点数は%で表します。

% 症状 介助の要,不要
100% 正常,臨床症状なし 正常な活動可能,特別のケアを要していない
90% 軽い臨床症状があるが正常の活動可能
80% かなりの臨床症状があるが努力して正常の活動可能
70% 自分自身の世話はできるが正常の活動・労働は不可能 労働不可能,家庭での療養可能,日常の行動の大部分に症状に応じて介助が必要
60% 自分に必要なことはできるが時々介助が必要
50% 症状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
40% 動けず,適切な医療および看護が必要 自分自身のことをすることが不可能,入院治療が必要,疾患が急速に進行していく時期
30% 全く動けず入院が必要だが死はさしせまっていない
20% 非常に重症,入院が必要で精力的な治療が必要
10% 死期が切迫している
0%

病状には個人差があり,このスケールのように悪化していくとは限りません。

「入院治療が必要」という基準がありますが,ターミナルケアを在宅で行う場合には,採点が難しくなるかもしれません。

以上の表を見ていただければ,基本的なことは分かると思います。
より正確に理解したいという場合は,原文を読む方がいいと思います。

原著1)からの引用

Definition % Criteria
Able to carry on normal activity and to work. No special care is needed. 100 Normal; no complaints; no evidence of disease.
90 Able to carry on normal activity; minor signs or symptoms of disease.
80 Normal activity with effort; some signs or symptoms of disease.
Unable to work. Able to live at home, care for most personal needs. A varying amount of assistance needed. 70 Cares for self. Unable to carry on normal activity or to do active work.
60 Requires occasional assistance, but is able to care for most of his needs.
50 Requires considerable assistance and frequent medical care.
Unable to care for self. Requires equivalent of institutional or hospital care. Disease may be progressing rapidly. 40 Disabled; requires special care and assistance.
30 Severely disabled; hospitalization is indicated although death not imminent.
20 Very sick; hospitalization necessary; active supportive treatment necessary.
10 Moribund; fatal processes progressing rapidly.
0 Dead.

最初の日本語訳と原文を比べてみると,最初の日本語訳はわりに意訳が行われていることが分かります。
そこで,より原文に忠実な訳を試みてみました。

より原文に忠実な日本語訳

定義 % 判定基準
通常の活動や働くことが可能。特別なケアを必要としない 100% 正常。訴えはない。疾患の存在を示すものはない。
90% 通常の活動を続けることができる。疾患の軽微な徴候または症状がある。
80% 通常の活動には努力が伴う。疾患の徴候または症状が多少はある。
働くことはできない。自宅で生活することができ,身の回りのことは自分でできる。様々な程度の介助が必要。 70% 身の回りのことは自分でできる。通常の活動を続けることができないか,体を使う労働はできない。
60% 時々介助が必要だが,身の回りのことはほとんど自分でできる。
50% かなりの介助と頻繁な医療を必要とする。
身の回りのことができない。施設や病院でのケアと同等のケアを必要とする。疾患は急速に進行しているだろう, 40% 障害がある。特別なケアと介助が必要。
30% 重度の障害がある。死はさしせまっていないが入院が必要。
20% 重症。入院が必要。積極的で支持的な治療が必要。
10% 瀕死の状態。死に至るプロセスが急速に進行している。
0% 死亡

「care」は「ケア」と訳していますが,前述した Performance status の説明に看護(nursing care)という言葉が使われていることから,「看護」と訳す方がいいのかもしれません。

「Disabled」も曖昧な表現です。
「障害」と訳しましたが,最初の日本語訳にあるように「動けない」というニュアンスが強い単語のようです。

おわりに

このスケールが最初の使われたのは,Karnofskyらが抗がん剤の効果を調べた研究1)のようですが,確証は得られていません。

名称のバリエーションとして,Karnofsky Performance Status Scale,Karnofsky Performance Status などがあります。

広く使われているようですし,理学療法士国家試験(第53回午後問題35)にも出題されています。
がんのリハビリテーションを行うのであれば,知っておきたいスケールです。

参考文献

1)Karnofsky DA, Ablemann WH, et al.: The use of nitrogen mustards in the palliative treatment of carcinoma. Cancer. 1948; 1: 634-656.
2)公益社団法人日本リハビリテーション医学会, がんのリハビリテーションガイドライン改訂委員会(編): がんのリハビリテーション診療ガイドライン第2版. 金原出版株式会社, 2019, pp7.

2020年12月25日
2020年2月20日

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