副神経の走行と働き

はじめに

副神経(第 XI 脳神経 accessory nerve)の働きや走行について解説します。
適度に詳しくなるよう心がけました。

目次

副神経の概要

副神経は運動神経のみで構成される神経で,胸鎖乳突筋,僧帽筋などを支配します。

副神経の起始(起始核)

副神経の起始核は延髄から頸髄にわたって存在します。

副神経延髄根核

延髄の疑核の下部にあります。
迷走神経背側核の下部,あるいは疑核の下部としている文献1)もあります。

副神経脊髄核

上位 3 〜6 頸髄の前角にあります。
第 2 〜 5,6 頸髄としている文献8)もあります。

副神経の核と走行
図 1: 副神経

副神経の走行

副神経の神経線維束には延髄根脊髄根があります。
延髄根は副神経延髄根核からの線維で,脊髄根は副神経脊髄核からの線維です。

延髄根はオリーブ後溝から出ます。
脊髄根は 6 から 7 本の根となり,頸神経の前根と後根の間から脊髄を出ます。
脊髄根は脊柱管内を上がり,大後頭孔から頭蓋腔へ入り,そこで延髄根と合流します。

1 本になった副神経は,舌咽神経,迷走神経とともに,頸静脈孔を通って,頭蓋の外に出ます。

そして,内枝と外枝の 2 枝に分かれます。

副神経の枝とその働き

内枝

延髄根の延長です。
迷走神経の下神経節の上端で迷走神経と合流します。

軟口蓋,咽頭,喉頭の筋の一部を支配する運動線維1)となっていますが,具体的な筋名が載っていない文献1-4)も多数あります。

文献 7)では以下の筋が副神経支配となっています。

  • 下咽頭収縮筋
  • 中咽頭収縮筋
  • 上咽頭収縮筋
  • 口蓋垂筋
  • 口蓋咽頭筋

大まかにいうと,副神経からの線維は咽頭神経叢に入るということになります。
しかし,下喉頭神経(迷走神経の枝)に入るとしている文献8)もあります。
そうなると,副神経は輪状甲状筋以外の喉頭筋を支配するということになります。

外枝

脊髄根の延長です。

途中で頸神経が合流します。

胸鎖乳突筋と僧帽筋上部7,8)を支配します。

おわりに

副神経の「副」は,迷走神経の一部という意味での「副」です。

初めて脳神経を習った頃は,副神経は胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配するだけと単純に覚えていましたが,実際には,もう少し複雑です。

副神経が支配する具体的な筋についてはよく分かりません。
さらに元の文献を読む必要があるのですが,その元文献は明示されておらず,探すのは骨の折れる作業になりそうです。
今後の課題としたいと思います。

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参考文献

1)金子丑之助: 日本人体解剖学上巻(改訂19版). 南山堂, 2002, pp546-554.
2)金子丑之助: 日本人体解剖学下巻(改訂19版). 南山堂, 2008.
3)越智淳三(訳): 解剖学アトラス(第3版). 文光堂, 2001, 437-450.
4)秋田恵一(訳): グレイ解剖学(原著第4版). エルゼビア・ジャパン, 2019, 677-920.
5)岡田泰伸(監修): ギャノング生理学 原著25版. 丸善出版, 2017.
6)本間研一(監修): 標準生理学 第9版. 医学書院, 2019.
7)津山直一, 中村耕三(訳): 新・徒手筋力検査法(原著第9版). 協同医書出版社, 2015.
8)小泉健三: 副神経. 診断と治療. 2018; 106: 123-128.

2021年6月7日

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