Strike Index(ストライクインデックス )の詳細

はじめに

まず strike index の日本語訳についてあらかじめお断りしておきます。
Strike index を日本語の論文で使っているのを見つけることができず,適当な日本語訳が分かりませんでした。
英語のままでもいいのですが,読みやすさを優先し,ストライクインデックスとカタカナ表記にします。

ストライクインデックスとは1,2)

ストライクインデックス(Strike Index,SI)とは,ランニングで接地した瞬間の圧中心(足圧中心)の位置を表したもので,足の後端からの距離を足の全長に対する割合(%)で表します。
ストライクインデックスの値が小さいければ,接地した時の圧中心は後足部側(踵側)にあり,大きければ前足部側(爪先側)にあるということです。

床反力計と三次元動作解析装置で測定します。

Foot-strike Patterns の一つで,足部接地の型を表します。
(Foot-strike Patterns の詳細はこちら

代表的な分類は足が地面に接地するときにどこから先に接地するかで分類するものです。
以下に示します。

  • Rearfoot strike(RFS,後足部接地):後足部(踵)が先に接地し,後から前足部が接地する走り方
  • Midfoot strike(MFS,中足部接地):前足部と後足部が同時に接地
  • Forefoot strike(FFS,前足部接地):前足部が先に接地し,後から後足部が接地

同じように,ストライクインデックスをFoot-strike Patterns の分類に使います。
足の全長を 3 等分にします。

  • Rearfoot strike:ストライクインデックスが 0 – 33%
  • Midfoot strike:ストライクインデックスが 34 – 67%
  • Forefoot strike:ストライクインデックスが 68 – 100%

Foot-strike Patterns の分類では,ストライクインデックスがゴールドスタンダードであり,研究でもよく使われています。

どこを3等分にするか(Strike Index の問題点)

最初の論文1)では靴の全長を三等分にしています。
靴にはつま先に余裕があり,靴の全長は足の全長よりも長くなります。
その靴の forefoot は足のかなり前の部分になり,第 5 中足骨頭よりも前になることがあります(図1)。

靴を三等分にした strike index
図 1

普通のランニングでは第 5 中足骨頭より前で接地することはなく,接地時の圧中心が足趾にあることはありません。
靴の全長を三等分にしてしまうと,Forefoot strike になる人は少なくなってしまうと推測でき,実際,その論文1)では forefoot に該当する人はいませんでした。

足を三等分にした場合でも,第 5 中足骨頭あたりが forefoot と midfoot の境目になる可能性があります(図2)。

足を三等分にした strike index
図 2

この問題に対して,modified srike index3) というものが作られています。
Modified srike indexでは,第 1 中足骨頭と踵後端の間を三等分しています(図3)。

modified srike index
図 3

そうすることで,第 5 中足骨頭が含まれ,実際に圧中心が分布する領域を三等分することになります。
私は modified srike index の方がいいと思いますが,まだあまり使われていないようです。

圧中心の軌跡1)

ストライクインデックスは接地した瞬間の圧中心の位置をみるものですが,床反力計で測定しているのですから,接地後の圧中心の軌跡も測定することができます。

Rearfoot strike と Midfoot strike それぞれでの圧中心の軌跡を図 4 と図 5 に示します。

RFSにおける圧中心の軌跡
図 4. Rearfoot strike での圧中心の軌跡:後足部で接地するため,圧中心も後足部から始まり,すぐに中央に移動し,前足部へと移動していきます。
MFSにおける圧中心の軌跡
図 5. Midfoot strike での圧中心の軌跡:圧中心は中足部から始まり,わずかに前に移動したのち,いったん後ろに下がってから,前足部へと移動していきます。

明らかな違いがありますので,圧中心の軌跡によって Foot-strike Patterns を分類することができると思うのですが,そのことは論文では触れられていません。

おわりに

ストライクインデックスを測定するためには,床反力計と三次元動作解析装置が必要です。
そのため,一般の臨床やスポーツの現場で実用的に使えるものではありません。
しかし,靴のインソールなど,現場で利用できる測定法が開発されつつあるようです。

余談ですが,このストライクインデックスという言葉を最初に使ったのは誰なのかについては調べきれていません。
接地した時の圧中心の位置を rearfoot, midfoot, forefoot の 3 つに分けるというアイデアは Cavanaghら1)によるものですが,ストライクインデックスという言葉は使っていません。
私がみつけたストライクインデックスという用語を使っている一番古い論文は 2012 年の Altmanら2)による論文です。
これより古い論文を探していきたいと思います。

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参考文献

1)Cavanagh PR, Lafortune MA: Ground reaction forces in distance running. J Biomech. 1980; 13: 397-406.
2)Altman AR, Davis IS: A kinematic method for footstrike pattern detection in barefoot and shod runners. Gait Posture. 2012; 35: 298-300.
3)Graf ES, Rainbow MJ, et al.: A modified strike index for detection of foot strike pattern in barefoot running

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2020 年 1 月 8 日
2020 年 9 月 17 日

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