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ランニングで足のどこから着地しているか?その自己認識は難しいという話

投稿日:2019年12月3日 更新日:

ランニングで足のどこから着地していますか?という問いに,多くの人は答えることができます。
足が地面についたという感覚があるからです。
でも,その自己認識は本当に正しいのでしょうか?

それを調べた論文1)を紹介したいと思います。

論文の要約

タイトルは「Accuracy of self-reported foot strike pattern in intercollegiate and recreational runners during shod running」です。

靴を履いてのランニングにおいて,ランナーが自覚している Foot-strike Patterns の正確さを,大学のクロスカントリーランナーと一般のレクレーションランナーとの間で比較した論文です。

*Foot-strike Patterns の定義は判定方法については別の記事でまとめています。

被験者

大学のクロスカントリーランナー23名と一般のレクレーションランナー23名が参加しています。
1週間の走行距離は18マイル(28.9682km)以上で,18歳〜40歳の人たちです。
クロスカントリーランナーは,全米大学体育協会(NCAA)の Division II に所属している大学のクラブから集められましたので,中級レベルの競技ランナーということになります。

調査方法

自覚している Foot-strike Patterns が,Rearfoot strike(RFS,後足部接地),Midfoot strike(MFS,中足部接地),Forefoot strike(FFS,前足部接地)のどれであるかを聞いた後に,トレッドミルで走ってもらい,ビデオカメラで撮影して,実際のフットストライクパターンを判定します。

Foot-strike Patterns の判定には FSA (foot strike angle) 2)を使っています。
地面に対する足の角度で判定するものです。

結果

自分の Foot-strike Patterns を正しく認識していたのは,クロスカントリーランナーで56.5%,レクレーションランナーで43.5%でした。

Foot-strike Patterns の分布について,以下のような表が載っていました。

「FSP自己認識」は自分で認識している Foot-strike Patterns で,「FSPビデオ」はビデオで判定した実際の Foot-strike Patterns です。
それぞれのパターンが何人いたかを表しています。

Rearfoot strikeMidfoot strikeForefoot strike
FSP自己認識797
FSPビデオ1733
表1. 大学のクロスカントリーランナー
Rearfoot strikeMidfoot strikeForefoot strike
FSP自己認識6152
FSPビデオ1922
表2. 一般のレクレーションランナー

自分自身のフットストライクパターンを正しく認識するのはなぜ難しいのか?

私の考えを述べます。
表1 のRearfoot strike のところをみると,Rearfoot strike だと自分で思っている人は7名なのですが,実際には17名がRearfoot strike だったということが分かります。
これは,踵から着地していることを自覚しにくいということを表しているのでしょう。
着地したことを感じるためにはある程度の強い力が足の裏にかかる必要がありますが,踵が着地した瞬間にはまだ強い力がかかっておらず,また,力がかかる部分はすぐに足の前方に移動していきます。
だから,踵が着地していることが分からないのだろうと私は推測しています(このことについては別の記事でも書いています)。

参考文献

1)Bade MB, Aaron K, et al.: Accuracy of self-reported foot strike pattern in intercollegiate and recreational runners during shod running. Int J Sports Phys Ther. 2016; 11: 350-355.
2)Altman AR, Davis IS: A kinematic method for footstrike pattern detection in barefoot and shod runners. Gait Posture. 2012; 35: 298-300.

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