外転神経の走行と働き

はじめに

外転神経(第 VI 脳神経 abducent nerve)の働きや走行について解説します。
適度に詳しくなるよう心がけました。

外転神経の概要

純運動性神経で,外眼筋の一つである外側直筋のみを支配します。

外転神経の起始(起始核)

橋にある外転神経核より始まります。
外転神経核の高さは橋のほぼ中央部です。
また,背側で菱形窩(第 4 脳室底部)のすぐ前方にあります。

外転神経核の背側を顔面神経線維が走ることで,顔面神経丘と呼ばれる隆起ができます。

外転神経の起始核と走行
図 1: 外転神経の起始核と走行(脳幹の正中断面を内側から見たところ),文献 3)より

外転神経の走行

外転神経核をでた線維は,橋を貫いて腹側へ走ります。

橋と延髄錐体との間の溝から脳幹を出ます。

橋の腹側を上行します。

海綿静脈洞の近く,三叉神経の内側で硬膜を貫きます。
その貫通するところをドレロ管と呼びます。

海綿静脈洞を通って上眼窩裂から眼窩に入り,外側直筋に分布します。

海綿静脈洞内で,内頸動脈交感神経叢からの枝を受けます。
その線維がどこに分布するのかについては記載がありません。

おわりに

走行距離が長いのが特徴で,障害を受けやすい脳神経です。

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参考文献

1)金子丑之助: 日本人体解剖学上巻(改訂19版). 南山堂, 2002, pp536.
2)金子丑之助: 日本人体解剖学下巻(改訂19版). 南山堂, 2008.
3)越智淳三(訳): 解剖学アトラス(第3版). 文光堂, 2001, 449-452.
4)秋田恵一(訳): グレイ解剖学(原著第4版). エルゼビア・ジャパン, 2019, 677-920.
5)岡田泰伸(監修): ギャノング生理学 原著25版. 丸善出版, 2017.
6)本間研一(監修): 標準生理学 第9版. 医学書院, 2019.
7)馬見塚勝郎: 外転神経とドレロ管. BRAIN NURSING. 2016; 32: 836-837.
8)藤原俊郎: 第 VI 脳神経:外転神経. BRAIN NURSING. 2018; 34: 22-23.
9)馬場元毅: 絵でみる脳と神経 しくみと障害のメカニズム 第3版. 医学書院, 2012, pp163-172.

2021 年 6 月 23 日
2024 年 4 月 4 日

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