「喘鳴」は「ぜんめい」と読みますが「ぜいめい」とも読みます

「喘鳴」の正式な読み方は「ぜんめい」です。
広辞苑1-5),日本国語大辞典6),大辞林7),新明解8),医学大辞典9)といった主要な辞書では「ぜんめい」です。

その一方で,私の周りの医療従事者は皆「ぜいめい」と読んでいます。
リハビリテーション医学大辞典10)では「ぜいめい」です。

さて,正式な読み方は「ぜんめい」でいいと思うのですが,「ぜいめい」は誤りでしょうか?
実は,広辞苑第七版1)には「ぜいめい」の見出し語があり,「ゼンメイの訛」と書かれています。
ですので,「ぜいめい」でも誤りではないと言えます。

ちなみに「ぜいめい」という見出し語があるのは,広辞苑の第七版1),第六版2)です。
第五版3),第四版4),第二版補訂版5)にははありません。

ちょっと気になるのは,「ゼンメイの訛」という広辞苑の語釈です。
訛りとは「なまること。標準語にくらべて、音韻上、多少の相違がある地方的な発音、またはその言語1)」です。
ということは,「ぜいめい」と読む地方があるということになりますが,そんな話は聞いたことがありません。
広辞苑の語釈にはちょっと矛盾がありそうです。

それと,リハビリテーション医学大辞典10)の見出しが「ぜいめい」となっているのは,辞書としてはいいことではないような気がします。

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参考文献

1)新村出(編): 広辞苑第七版. 岩波書店, 2018.
2)新村出(編): 広辞苑第六版. 岩波書店, 2008.
3)新村出(編): 広辞苑第五版. 岩波書店, 1998.
4)新村出(編): 広辞苑第四版. 岩波書店, 1991.
5)新村出(編): 広辞苑第二版補訂版. 岩波書店, 1979.
6)北原保雄, 久保田淳, 谷脇理史, 徳川宗賢, 林大, 前田富祺, 松井栄一, 渡辺実(編): 日本国語大辞典第二版. 小学館, 2004.
7)松村明, 三省堂編修所(編): 大辞林第4版. 三省堂, 2019.
8)金田一京助: 新明解国語辞典第五版. 三省堂, 1997.
9)後藤稠(編): 最新医学大辞典(第1版). 医歯薬出版, 1994, pp1526.
10)上田敏, 大川弥生(編). リハビリテーション医学大辞典. 医歯薬出版, 2002.

2025年11月15日

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