国家試験

理学療法士国家試験問題 解答と解説(FIM 編)

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はじめに

理学療法士国家試験の FIM に関する問題の解説です。
第 41 回から 55 回までで集めましたが,第 55 回では FIM の出題はありませんでした。

基本的な解説をした後に,問題の不適切なところについても解説しています。
かなり細かいところも指摘していますので,人によっては不快に感じるかもしれません。
しかし,その不適切なところは,FIM を正しく使うために重要なところです。

この記事の本文で「テキスト」と読んでいるものは,参考文献の 1)と 2)のことです。

FIM の解説はこちらにあります。

目次

第 54 回理学療法士国家試験

午後 8

75歳の男性。右利き。脳梗塞による右片麻痺。右短下肢裝具を装着し四脚杖を使用して介助なく20 m までの歩行が可能である。食事は左手で普通のスプーンやフォークを使用して介助なく可能だが箸は使えない。
歩行と食事の FIM の点数の組合せで正しいのはどれか。

1. 歩行6点,食事5点
2. 歩行6点,食事6点
3. 歩行5点,食事6点
4. 歩行5点,食事7点
5. 歩行4点,食事7点

正解 4

解説

50 m を歩いていなければ,6・7 点はつきません。

15 m 以上を介助なしで歩いていますので 5 点です。
15 m の場合は,歩行補助具を使っていても減点はしません。

食事では,箸の使用は採点対象外です。
補助具等は使わずに自立しているのなら 7 点です。

この問題は,厳密には不適切問題です。
FIM は「している ADL」で採点します。
問題では「可能である」となっており,しているかどうかが分かりませんので,FIM の点数は決まりません。
また,介助下での 50 m 歩行についての情報もありません。
例えば,介助者に支えてもらいながら 50 m 以上歩いているのであれば 3 点になりますが,情報がないため採点できません。
食事についても,介助が不要であるので,7 点か 6 点のどちらかになるのですが,通常の時間内で食べているのか?安全への配慮がなされていないのか?が分からないため,採点できません。

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第 53 回理学療法士国家試験

午後 83

FIM で 4 点(最小介助)となるのはどれか。

  1. アームスリングをつけてもらっている。
  2. 食器に残った食べ物をかき集めてもらう。
  3. 移乗時に介助者から軽く引き上げてもらう。
  4. トイレットペーパーをあらかじめ折ってもらう。
  5. シャワーを浴びる前にお湯の温度を調節してもらう。

正解 2

解説

1.更衣の採点において,義肢,装具,自助具の着脱が介助であっても 5 点までしか下がらないという特別ルールがありますので,アームスリングをつけてもらっていても,4 点にはなりません。もし,5 点までしか下がらないというルールを知らず,点数の定義に則って,アームスリングのみ介助してもらっていると考えれば 4 点になりますので,特別ルールの暗記は重要です。

2.「最後に食器に残った食べ物をかき集めてもらう」は 4 点であると,テキストに具体例として載っています。
集めてもらうだけなら,介助量は 25% 未満でしょうから 4 点です。

3.移乗で引き上げてもらうのは 3 点です。

4.トイレ動作において,拭く紙の準備は「準備」であると定義されており,準備を手伝ってもらうのは 5 点です。

5.清拭の前にシャワーの温度調節をすることは「準備」であると定義されていますので,温度調節をしてもらったら 5 点です。

厳密には不適切問題です。

問題の情報から 4 点であるかどうかは判断できません。
例えば,選択肢 2 です。
食事で介助してもらうのは,食器に残った食べ物をかき集めてもらうことのみであれば 4 点です。
でも,選択肢 2 には,「食器に残った食べ物をかき集めてもらう」としか書かれておらず,他に介助してもらっているのかどうかが分かりません。

問題全体として,どの項目が 4 点となるのかが書かれていません。
とはいえ「食器に残った食べ物をかき集めてもらっても,整容は 4 点にならない」などと主張してしまえば,それはもう屁理屈です。
でも,FIM を実際に使うときは,採点しようとしている動作がどの項目に当てはまるのかを判断することが重要で,間違えやすいポイントでもあります。

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第 52 回理学療法士国家試験

午後 29

FIM について正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. 運動項目の 1 つに排尿管理がある。
2. 認知項目の 1 つに問題解決がある。
3. 認知項目の完全自立は 42 点となる。
4. 補装具を使用して動作が自立していれば完全自立とする。
5. すべての評価項目が全介助の場合、評価点は 0 点となる。

正解 1,2

解説

1,2. FIM の採点を何度かすれば,自然と覚えてしまうところです。

3. 各項目の採点は 1 〜 7 点の 7 段階です。完全自立は 7 点であり,認知項目は 5 項目であることを問うています。認知項目が 5 項目あるということは,FIM を日常的に使っていても,試験の場であらためて問われると,出てこないのかもしれません。

4.補装具を使用して自立していれば修正自立です。

5.全介助は 1 点で,評価項目は全部で 18 項目あります。

この問題は,FIM を使い込んでいれば解ける問題です。
一方で,FIM を使う機会がなかった学生にとっては,どちらかというと丸暗記を要求する辛い問題です。
これは,出題者からの,「FIM を実習で使ってください」というメッセージなのかもしれません。

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第 51 回理学療法士国家試験

午後 40

FIM の評定で修正自立となるのはどれか。2つ選べ。

1. 入れ歯の着脱が自立している。
2. シャワーのみで入浴が自立している。
3. スプーンを用いての食事が自立している。
4. パッドを用いての排尿管理が自立している。
5. 装具を装着して300 m 程度の歩行が自立している。

正解 4,5

解説

1.入れ歯の着脱は整容の採点対象であり,減点要素ではありません。

2.入浴の何が自立しているのかが分からないのですが,移乗(浴槽・シャワー)に関する選択肢だと思います。浴槽かシャワーのどちらかで採点するのであり,浴槽をまたげなくてシャワーで済ましていても,減点にはなりません。

3.箸の使用は採点対象外ですので,日本の食事で本来なら箸を使うところをスプーンで食べていたとしても,そのスプーンが補助具にあたるとは考えません。

4.排尿管理とは,尿を出したくない時には出さないことです。パッドは出てしまった時に周囲を汚さないようにする補助具ですので,それを使っているのなら修正自立(6 点)です。

5.50 m 以上を介助者なしで歩いていれば,完全自立か修正自立のどちらかで,装具を使っているので修正自立です。

この問題はやや不適切です。

自立しているとなっていても,修正自立の条件である補助具,安全性,時間のことが書かれていないため,修正自立でないとは言い切れません。

選択肢 5 で装具を装着とありますが,どんな装具かによって変わります。
もし装具が歩行のために必須ではないアームスリングであったなら,修正自立ではなく完全自立になります。
屁理屈に思えるかもしれませんが,FIM のテキストにはこのことが明記されており,採点範囲を間違えないようにするという重要なポイントです。

各選択肢の条件によってどの項目が修正自立になるのかは問題にありません。
厳密には問題として成り立っていません。

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第 50 回理学療法士国家試験

午前 45

FIM の評定で正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. 食事 1 点:咀嚼や嚥下は可能であるが、食べ物を口に全く運ばない。
2. トイレ動作 1 点:日中 6 回修正自立で行い、夜間 2 回全介助で行っている。
3. 排便管理 4 点:坐薬を月に 4 回挿入してもらっている。
4. 移動 4 点:車椅子で 50 m 以上自走できるが曲がるたびに介助が必要となる。
5. 記憶 2 点:よく出会う人を認識し、日課を思い出せるが、命令に従えるのは1段階までである。

正解 1,2

解説

1.食事は,食べ物を口に運ぶ動作と咀嚼・嚥下を採点するのですが,これらは同じ比重ではなく,口に運ぶ動作の方が比重が大きいということになっています。そのため,咀嚼・嚥下を行なっているだけだと 1 点になります。この配点は,採点基準から考えても分からないところであり,採点の具体例として覚える必要があります。

2.日内変動があれば低い方の点数をつけるという場合の典型例です。全介助ですので 1 点です。

3.座薬の使用に関する採点基準があり,座薬を挿入してもらっているのが週 2 回以下であれば 5 点,隔日または毎日であれば 4 点です。月に 4 回は週 2 回以下ですので 5 点です。座薬を入れてもらう頻度がどんなに多くても 4 点までしか下がらないことを覚えておくと,月 4 回で 4 点はないだろうと思えます。

4.車椅子で 50 m 移動しているが,曲がるたびに介助してもらっていたら 3 点です。これも採点の具体例として覚えておく必要があります。まっすぐ進むことが,自分で行なっている割合が50% 以上 75% 未満であるかどうかは,考えても分かりません。

5.記憶は,日課を覚えている,よく出会う人がわかる,他人の依頼を実行する,の 3 要素で採点します。そして,他人の依頼は 3 段階まで対応できることが想定されています。3 要素のうち 2 つ( 67%)ができていて,残りの依頼を実行することに関しては,3 段階のうち 1 段階ができるので,33% の 1 / 3 で 11% ができていると考えます。合わせて 78%で,75% 以上ですから 4 点です。
これは,テキストに具体例として載っています。国家試験では,テキストの具体例を暗記してもいいのかもしれません。

この問題には,各選択肢にある条件だけでは,点数は決まらないという問題点があります。
例えば,排便管理は「失敗」と「介助量」の両面から採点するのですが,選択肢 3 には介助量の情報しかありません。

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午後 17

65 歳の男性。右片麻痺。病棟では、ベッドから車椅子への移乗は介助者に腰を軽く引き上げてもらい、車椅子からベッドへの移乗は介助者に腰を持ち上げて回してもらう。
移乗動作のFIM の点数はどれか。

1. 5 点
2. 4 点
3. 3 点
4. 2 点
5. 1 点

正解 4

解説

移乗動作では往復を採点し,点数が異なる場合は低い方の点数を取ります。
ベッドから車椅子への移乗は,引き上げてもらっているので 3 点です。
そして,車椅子からベッドへの移乗は,持ち上げてもらうのと回してもらうのをともに介助してもらっているので 2 点です。
これらは採点の具体例として載っています。

しかし,「移乗:ベッド・椅子・車椅子」の採点では,起き上がり動作も採点対象です。
起き上がりの情報がないために点数は決まらず,厳密には不適切問題です。

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午後 47

FIM のトイレ動作で評価される項目はどれか。2 つ選べ。

1. トイレに近づく。
2. 便器に移乗する。
3. 服を下げる。
4. 拭く。
5. トイレのドアを閉める。

正解 3,4

解説

トイレ動作は,服を下げる,拭く,服を上げるの 3 動作です。
トイレに近づくことは「移動」で,便器に移乗することは「移乗:トイレ」で採点します。

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第 49 回理学療法士国家試験

午前 6

80 歳の男性。脳梗塞による右片麻痺。Brunnstrom 法ステージは上肢、手指、下肢ともに Ⅲ。右短下肢装具を装着し 1 本杖歩行は 15 m までは可能である。12 段の階段昇降は可能であるが、そばで見守る必要がある。
歩行と階段の FIM の点数の組合せで正しいのはどれか。

  1. 歩行 6 点 ——– 階段 6 点
  2. 歩行 5 点 ——– 階段 6 点
  3. 歩行 5 点 ——– 階段 5 点
  4. 歩行 4 点 ——– 階段 5 点
  5. 歩行 4 点 ——– 階段 4 点

正解 3

解説

歩行の介助量が書かれていません。
ですので,この問題は本来なら不適切問題です。
しかし,階段は見守りと書いてあるところから,歩行は介助者なしで行なっていると解釈します。

15 m の歩行を介助者なしで行っていますので 5 点です。
15 m の場合は,歩行補助具を使っていても,介助者がいなければ 5 点です。

階段は,12 段で見守りが必要ですので 5 点です。

問題の不備がもう少しあります。
FIM は「可能かどうか」で採点するのではなく,「しているかどうか」で採点します。
15 m の歩行を行なっているかどうかが分かりません。
ただし,階段だけは「可能かどうか」で採点してもいいという特別なルールがあります。

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午前 47

FIM で 5 点に評定されるのはどれか。 2 つ選べ。

1.整容:洗顔、洗髪に介助を要する。
2.排尿管理:自己導尿が自立している。
3.歩行:歩行器を用い、監視下で 50 m 歩行する。
4.更衣(上半身):シャツのボタンをかけるのを介助してもらう。
5.記憶:メモリーノートが必要だが使うように促されれば問題は生じない。

正解 3,5

解説

1.問題文の情報だけでは点数は決まりませんが,介助を要するので 5 点ではありません。

2.補助具を使っての自立は 6 点です。

3.50 m で歩行器を使用しているだけなら 6 点ですが,さらに監視が必要ですので 5 点です。

4.介助してもらっているので,5 点ではありません。介助してもらうのがボタンをかけることだけであれば 4 点です。

5.介助が促しだけなので 5 点です。

選択肢 2 の「自立している」という表現には注意が必要です。
「自立している」という表現が,失敗もないという意味を含んでいるかどうかは分かりません。
例えば,理学療法士が他職種より情報を得るときに,「自己導尿で自立してます」と言われたら,「失敗も全然ないということですね」と確認した方がいいこともあります。
問題文としては,不適切だと思います。

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第 48 回理学療法士国家試験

午前 26

FIM について正しいのはどれか。

1.自記式評価法である。
2.機能障害の評価法である。
3.更衣は上半身と下半身に分けられる。
4.補装具を使用しても完全自立と判定する。
5.認知には「対人関係」という項目が含まれる。

正解 3

解説

1.特に認知項目は自分で採点することはできない場合があるでしょう。

2.機能障害ではなく活動制限・参加制約の評価法です。

3.その通りです。

4.補装具を使用していれば完全自立ではなく,修正自立になります。

5.「対人関係」という項目はありませんが,「社会的交流」はあります。似ていますので,うろ覚えだと間違うのかもしれません。

FIM をよく使っている人にとっては簡単な問題です。

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午後 25

FIM の移動(歩行)項目の評定で 6 はどれか。

1.時間は健常の 3 倍かかるが装具、杖なしで 50 m 歩ける。
2.軽度の介助があれば装具、杖なしで 50 m 歩ける。
3.そばで見ていれば装具、杖なしで 50 m 歩ける。
4.装具を装着すれば 30 m は歩ける。
5.声かけすれば 30 m は歩ける。

正解 1

解説

1.時間が健常の 3 倍かかっていれば 6 点です。正確には,介助者がいないという条件も必要です。

2.介助が必要であれば 4 点以下です。「軽度の介助」では点数は決まりません。自分で行なっている割合が必要です。

3.監視下で歩いているのなら 5 点です。

4.15 m 以上 50 m 未満を歩いている場合,装具の有無に関係なく 5 点です。

5.15 m 以上 50 m 未満を促しで歩いている場合は 2 点です。

FIMは「しているADL」を採点します。
この問題は「歩ける」としており,しているかどうかが分かりませんので,厳密には不適切問題です。

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第 47 回理学療法士国家試験

午前 19

80 歳の女性。5 年前に発症した脳梗塞による右片麻痺がある。Brunnstrom 法ステージは上肢、手指および下肢で Ⅲ である。全失語を認める。FIM では、ベッドへの移乗項目は 3 点で、車椅子での移動項目は 3 点である。
訪問リハビリテーションを導入する際、目標として適切なのはどれか。

1.屋外杖歩行の自立
2.屋内杖なし歩行の獲得
3.移乗動作の安定性の改善
4.右手指機能の改善
5.失語症の改善

正解 3

解説

FIM に関してこの問題が問うているのは,点数からその人の状態を想像できるかということです。
また,目標として適切ということは,その目標を達成できる見込みがあるということです。

1,2.車椅子で 3 点がついているということは,普段は車椅子で移動しているということであり,曲がることができないというようなレベルです。脳梗塞を発症して 5 年もたっていることもありますので,歩行は難しいと考えるのが自然です。

3.移乗が 3 点ということは,中等度の介助が必要だということです。移乗動作の安定性が改善して介助量が減れば,家族への負担も減るわけですから,目標としてはあり得ます。

4,5.発症して 5 年ですので,心身機能の改善は難しいでしょう。

ただ,この問題の情報だけから,歩行は難しいとは断定できず,厳密には問題として成り立っていません。
また,細かいことですが,FIM に「ベッドへの移乗」という項目はなく,「移乗:ベッド・椅子・車椅子」という項目名です。
もし,何らかの椅子からベッドに移乗するときだけを採点したのであれば,情報量はさらに少なくなり,「移乗動作」というより広い動作を改善することが妥当かどうかは不確かになります。

発症して 5 年だから改善はしないと決めつけてしまうのは危険です。
しかし,この問題は訪問リハビリテーション導入時の目標についての問題です。
導入時には改善の見込みが少ないだろうと考えるのが効率的です。
利用者(患者)にいきなり現実を突きつけるようなことは避けなければなりませんが,,,

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午後 29

車椅子で 50 m 移動できるが、敷居の段差を越えるときのみ介助を要する。
このときのFIM の移動項目の得点はどれか。

1.6 点
2.5 点
3.4 点
4.3 点
5.2 点

正解 3

解説

車椅子で 50 m 移動していて,敷居の段差を越えるときのみ介助を要するなら 4 点です。
テキストに採点の具体例として載っており,丸暗記してしまった方が確実です。
点数の定義からおおまかに考えることもできます。
何か一つだけ介助が必要で,その介助がそれほど大変なことではない場合は,たいてい 4 点です。
正確ではありませんが,だいたいの目安として覚えておくといいでしょう。

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第 46 回理学療法士国家試験

午前 41

浴槽移乗において「浴槽をまたぐ際、両足の出し入れを介助してもらう」必要がある場合、FIM の得点はどれか。

1.6 点
2.5 点
3.4 点
4.3 点
5.2 点

正解 4

解説

両足の出し入れを介助してもらっていたら 3 点です。
採点の具体例として,テキストに載っています。
これは点数の定義から導き出すことはできず,暗記する必要があります。

実際の採点では,両足の出し入れの介助以外に介助が必要なのかどうかをみなければなりません。
厳密には問題として成り立っていません。

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午後 41

FIM の得点で 5 点以下となるのはどれか。

1.食事: 配膳、下膳は手伝ってもらうが、あとは一人で食事できる。
2.清拭: 首から下のみすべて一人で洗える。
3.下半身更衣: 装具の着脱は介助が必要だ、ズボン、パンツ、靴下は一人でできる。
4.トイレ移乗:ベッドサイドのポータブルトイレで自立している。
5.歩行:50 mまでは、杖がなくても一人で歩ける。

正解 3

解説

1.配膳,下膳は採点対象外ですので手伝ってもらっても減点されません。一人で食事をしていて,介助者がその場にいないので,7 点か 6 点のどちらかです。

2.頭部は採点対象外です。首から下すべてということは,採点対象となる部位すべてを洗っているということになり,自立(7 点または 6 点)と判定します。

3.下半身の更衣で,装具の着脱に介助が必要であれば 5 点になるという特別ルールがあります。靴の着脱の情報がありませんので,点数は決まりませんが,5 点以下になります。

4.ベッド脇のポータブルトイレで自立していれば 6 点です。これは採点の具体例としてテキストに載っています。

5.50 m を一人で歩いているのなら,7 点か 6 点のどちらかです。

正解は 3 ですが,2 も正解になる可能性があります。
清拭は,洗うこと,すすぐこと,拭くことの 3 つを採点します。
問題文では洗うことしか書いておらず,他の情報がありません。
拭くのを介助してもらっていたら,4 点以下になります。
また,シャワーの温度調節などの準備をしてもらっていたら 5 点です。
不適切問題だと思います。

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第 45 回理学療法士国家試験

午後 19

85 歳の男性。ADL は「手すりを使えば 1 階から 2 階までの上りは自立しており、下りる際には恐怖心のために見守りが必要」であった。
階段昇降の FIM の得点はどれか。

1.6 点
2.5 点
3.4 点
4.3 点
5.2 点

正解 2

解説

上りは,手すりを使って自立しているので,採点基準通りの 6 点です。
下りは,見守りが必要ですので,採点基準通りの 5 点です。
上りと下りで点数が異なる場合は,低い方をとります。

下りは見守りが必要なのですが,それ以外の介助の情報がありません。
見守り以外の介助は不要であると解釈すれば,答えは一つになりますので,そうするしかありません。

階段の採点は,正確には 12 〜 14 段の階段で行います。
この 12 〜 14 段という段数は 1 フロアー分の階段に相当します。
問題文は,1 階から 2 階までの上りとなっていますが,もし,その 1 階から 2 階までの段数が 12 段に満たなければ,採点はできません。
この問題も,厳密には不適切問題です。

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第 44 回理学療法士国家試験

午前 38

*問題の一部だけとりあげます。

機能的自立度評価法(FIM)の得点で正しいのはどれか。

第44回理学療法士国家試験午前38選択肢5

解説

図は正解の選択肢です。
杖,装具を用い一人で 50 m 以上歩いていれば 6 点ですが,この図からは,杖,装具を用いていることしか分かりませんので,6 点であるのかどうかは分かりません。
よって,この問題は不適切問題です(正式に不適切問題にはなっていないようですが,,,)。
この図は移動の採点における典型的な状態としてテキスト1)に載っていますが,その説明に「杖,装具を用い 1 人で 50 m 以上歩行している」とちゃんと書いてあります。

他の選択肢も典型的な状態としてテキストに載っているもので,以下のような採点を表す図です(図は省略)。
移乗(ベッド・椅子・車椅子)において,二人介助で移乗していれば 1 点。
移動において,2 人介助でしか歩いていなければ 1 点。
更衣(上半身)において,リーチャーなどの補助具を用いて自立していれば 6 点。
移乗(ベッド・椅子・車椅子)において,手すりを使って 1 人で移乗していれば 6 点。

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第 43 回理学療法士国家試験

午前 55

機能的自立度評価法(FIM)の得点が 4 点となるのはどれか。

1.監視下で車椅子から便座に移乗している。
2.口頭指示を受けて50 m 以上杖歩行をしている。
3.患側下肢を持ち上げてもらい階段昇降をしている。
4.車椅子走行で角を曲がる時に押してもらう。
5.排泄の後始末で身体を軽く支えてもらう。

正解 5

解説

1.介助が監視のみであれば 5 点です。

2.口頭指示を受けながら歩くのか,口頭指示を受けた後に歩くのかによって変わりますが,口頭指示であって手出しではありませんので,4 点にはなりません。

3.「12 ~ 14 段の昇降で,介助者に支えてもらい,下肢を持ち上げてもらっていたら 3 点」という基準があります。問題では,持ち上げてもらっているだけですので,その場合も 3 点になるのかは,テキストからは分かりません。

4.まっすぐしか進めず,曲がるたびに介助が必要であれば,3 点です。これは採点の具体例としてテキストに載っています。ただし,狭い角を曲がる時のみ介助が必要であるなら 4 点です。50 m 移動していなければ,点数は下がります。

5.服の下げる,拭く,服を上げるの 3 つのうちの 1 つで,その一部分を助けてもらっているだけですから 4 点です。採点の具体例としてもテキストに載っています。

選択肢 5 が 4 点であることは間違いありませんが,3 と 4 は 4 点でないとは言い切れず,やや不適切な問題です。

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第 42 回理学療法士国家試験

午前 49

FIM の評価項目で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.各項目 0 ~ 7 点で評価する。
2.日常実際に行っている状態を評価する。
3.運動項目と認知項目から成り立っている。
4.介助者が必要でなければ 5 点以上と判定する。
5.問題解決はコミュニケーションの下位項目である。

正解 2,3

解説

1.各項目 1 ~ 7 点で評価します。

2.している ADL で採点するのは FIM の特徴です。

3.認知項目が含まれるのも FIM の特徴です。バーセルインデックスにはありません。

4.介助者が必要でなければ 6 点以上です。介助者が必要だが手出しは不要の 5 点と間違えないよう注意が必要です。

5.コミュニケーションの下位項目は理解と表出で,社会的認知の下位項目が社会的交流,問題解決,記憶です。

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第 41 回理学療法士国家試験

午前 50

ADL 評価で正しいのはどれか。

1.Barthel index で自立の得点は7 点である。
2.Barthel index は食事の支度の項目を含む。
3.FIM はできる ADL を評価する。
4.FIM では時間をかけても一人でできれば完全自立である。
5.Wee-FIM は小児のADL を評価する。

正解 5

解説

1.Barthel index での自立の得点は 5 〜 15 点です。

2.Barthel index での食事の採点は,手の届く範囲に食事が置かれたところからです。

3.している ADL を評価します。基本中の基本です。

4.時間が通常の 3 倍以上かかれば介助者が不要でも修正自立(6 点)です。

5.その通りです。

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午前 51

FIM の評価項目で誤っているのはどれか。

1.社会的交流
2.整容
3.排尿管理
4.トイレ動作
5.見当識

正解 5

解説

見当識という評価項目はありません。

ただし,記憶の採点に「よく出会う人がわかる」が含まれます。
これは見当識です。
評価項目ではなく評価項目名で誤っているのはどれかという問いの方がいいような気がします。

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おわりに

全体的に,FIM を使ううえで重要なところが出題されています。
国家試験勉強をしている方だけでなく,これから FIM を使おうとする方にとってもいい練習問題になると思います。

参考文献

1)千野直一(編): 脳卒中患者の機能評価 SIASとFIMの実際. シュプリンガー・フェアラーク東京, 1997, pp61.
2)千野直一, 椿原彰夫, 他(編著): 脳卒中の機能評価-SIASとFIM[基礎編]. 金原出版, 2018, pp93.

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FIMの基礎 – まず初めに覚えるところ
Barthel Index(バーセルインデックス)の詳細

2021年1月30日

-国家試験

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国家試験に,肩甲骨を胸郭に押し付ける作用のある筋を選ぶ問題があります。解説と疑問点をまとめました。 まずは問題を引用します。 第54回理学療法士国家試験午前問題701) 肩甲骨を胸郭に押し付ける作用の …