はじめに
セクレチンについて,簡単に説明します。
セクレチンは消化管ホルモンの一種です。
生理学の歴史において,最初に発見されたホルモンとして有名です。
分泌する器官と細胞
十二指腸粘膜や上部空腸粘膜にある S 細胞から分泌されます。
S 細胞の S は,セクレチン secretin の頭文字のようです。
セクレチンの主な作用
セクレチンは膵臓の外分泌系を促進します。
そして,酸性消化物を中和し,小腸の消化吸収を促進する作用があります。
重炭酸イオン分泌の促進
膵臓からの HCO3–(重炭酸イオン)の分泌を促進します。
その結果,アルカリ性の膵液が分泌されます。
十二指腸に流れてきた消化物は胃酸によって酸性になっていますが,そのままでは小腸の消化酵素がうまく働きません。
アルカリ性の膵液によって中和し,空腸に達するまでにほとんど中性になります。
胃の HCl 分泌を抑制
HCl(塩酸)は胃液の成分です。
HCl 分泌を促進するホルモンはガストリンです。
セクレチンはそのガストリンを抑制します4)。
コレシストキニンの膵消化酵素分泌作用を増強
コレシストキニン CCK も消化管ホルモンです。
セクレチンがコレシストキニンの作用を増強する一方で,コレシストキニンはセクレチンによる HCO3– 分泌を増強します。
オッディ Oddi 括約筋の弛緩
オッディ括約筋は胆膵管膨大部の腸への開口部にある括約筋です。
それが弛緩するので,膵液と胆汁が分泌されます。
幽門括約筋収縮作用
幽門が閉じれば,十二指腸内の内容物が胃へ逆流するのを防ぎます。
おわりに
セクレチンの作用は,胃での消化から小腸での消化への移行と捉えてもいいかもしれません。
余談ですが,S 細胞と聞くとスーパーサイヤ人を連想する方がいらっしゃるかもしれませんが,もちろん,関係はありません。
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スポンサーリンク参考文献
1)岡田泰伸(監修): ギャノング生理学 原著25版. 丸善出版, 2017, pp541-566.
2)本間研一(監修): 標準生理学 第9版. 医学書院, 2019, pp1021-1025.
3)真島英信: 生理学 改訂第18版. 文光堂, 1993, pp446-458.
4)當時久保正之, 川﨑英二: 栄養に関わるよくわかるホルモン講座. Nutrition Care. 2018; 11: 76-79.
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2021 年 5 月 26 日
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