医療面接

医療面接における質問の種類

投稿日:2020年3月6日 更新日:

医療面接における,医療者から患者(理学療法士から対象者)への質問の種類について解説します。

医療面接技術の練習の場面などで使われる用語(概念)です。
理学療法士国家試験にも出題されています。

中立的質問 Neutral Question

名前,生年月日,職業,住所などを尋ねる質問です。
答えは一つだけです。

何が中立 nutral なのかはよく分かりません。
後に出てくる「開かれた質問」などと比べて目立った特徴がないということかもしれません。
また,相手に心理的な動揺を引き起こしにくいという意味で中立なのかもしれません。

職業,住所を尋ねることは,場合によっては相手を不快にさせることがありますので気をつけましょう。

開かれた質問 Open-ended Question

相手が自由に答えられる質問です。
何についてどう話すのかは,相手にまかせます。
「どうされましたか?」が典型的な開かれた質問です。

会話の最初に使うといい質問です。
相手にまずは自由に話してもらい,その話を邪魔せずに熱心に聞く態度を見せることで,信頼関係を作っていきます。

閉じられた質問 Closed Question

相手が「はい」か「いいえ」で答えることになる質問です。
例えば「一人で外出しますか?」と質問すれば,相手は「はい」か「いいえ」で答えます。

一つの質問で一つの情報しか得られないことが多く,情報収集の効率は悪くなります。
しかし,ピンポイントで重要な情報を確認したい時には閉じられた質問が役にたちます。

閉じられた質問が続いてしまうと,質問を受ける側が「聞かれたことにだけ答えたらいい,自分から話をしなくてもいい」と感じてしまうことがあります。
つまり,受動的な態度に陥りがちになります。
リハビリテーションは患者(対象者)の積極的な参加が重要です。
閉じられた質問の使いすぎには注意しましょう。

焦点を絞った質問 Focused Question

特定のテーマに焦点を絞った質問です。
閉じられた質問よりは自由に答えることができますが,テーマが限られていますので,開かれた質問ほどには自由に答えることはできません。
「分野を絞った開かれた質問」ともいえます。

例えば,「一人で外出できないということですが,具体的にどんな手助けが必要なのかを教えていただけますか?」と言った質問が焦点を絞った質問です。

障害構造を分析したり,治療対象を明確にしていくような質問であり,医療面接ではよく使われる質問です。

理学療法における開かれた質問

「どうされましたか」のような,理学療法における開かれた質問の典型例を考えてみたのですが,どうも思いつきません。
理学療法は,医師やケアマネージャーなどによる大まかなプランができたところから始まるものですので,「どうされましたか?」というような開かれた質問をすることは少なく,焦点を絞った質問から始まることが多いような気がします。

しかし,最初に出来るだけ自由に話してもらうことは,信頼関係を作る上でも重要です。
例えば「ケアマネージャーからだいたいの話は聞いていますが,訪問リハを始めることになった経緯を○○さんの言葉で教えていただけませんか」というようなことを聞いてみるといいのではないでしょうか。

その他の質問

重複型の質問 Double Question

一度に2つ以上の内容を尋ねる質問です。

「食事とトイレとお風呂はどうしていますか?」というような質問です。

何を尋ねられたかが分からなくなることも多く,相手を困惑させてしまう質問です。
尋ね直すことになって効率が悪くなりがちです。
よって,出来るだけ使わないほうがいい質問です。

多選択肢の質問 Multiple Choice Question

何通りもの答えがあるのに,その中からいくつかを取り出して選択を迫る質問です。

「痛むのは膝の内側ですか?外側ですか?」というような質問です。

相手に当てはまらない選択肢をあげてしまうと,「分かってない」という不信感が生じることがあります。
一方,うまく当てはまっていれば,信頼につながるかもしれません。

どのような答えを期待しているかの例として選択肢をあげることで,相手の理解を助けることができます。
一方,多選択肢の質問をたたみかけてしまうと,「期待した答えが返ってこず,イライラしている」というような雰囲気になってしまうことがあります。
気をつけて使う必要があります。

誘導的な質問 Leading Question

あらかじめ予測した答えを相手に言って,同意を取り付けようとする質問です。

例えば,ずっと痛みが続いていると相手が言ったあと,「ビリビリする痛みですね」というような質問です。
実際にビリビリする痛みなのであれば,話は効率よく進むことになりますし,信頼を得ることもできます。
ビリビリに近い痛みだとどうなるでしょう。
ビリビリとはちょっと違うけど「まあ,そんな感じです」などと答えてしまうかもしれません。
このような会話になってしまうと,正しい情報を得ることはできません。

また,多選択肢の質問と同じで,高圧的な口調になってしまいがちな質問です。
あまり使わないほうがいいでしょう。

解釈モデル Explanatory Model を尋ねる質問

例えば,「楽に歩けるようになるまでに,どれくらいの期間が必要だと思いますか?」というような質問です(こんな直球で尋ねることは少ないかもしれませんが,,,)。

障害構造や治療方法などに対する,患者(対象者)の考えや信念を確認する質問です。
セラピストと患者(対象者)の間で極端に食い違っていると,リハビリテーションの進行を妨げることがありますので,確認しておく必要があります。

おわりに

コミュニケーションというものは,今回説明したようなことを勉強しただけではうまくなりません。
かといって,ただ実践するだけでもうまくはなりません。
知っていて損はないと思います。

参考文献

1)福井次矢: メディカル・インタビューマニュアル – 医師の本領を生かすコミュニケーション技法(第3版). インターメディカ, 2002, pp21-49.

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