解剖生理

脳の動脈とその灌流域

投稿日:2017年12月27日 更新日:

脳の動脈とその灌流域は覚えるのが大変ですが,脳卒中のリハビリテーションでは必須の知識です。
最低限覚えておきたいところをまとめてみました。

主な動脈の走行

脳の動脈には内頸動脈系と椎骨動脈系があります。

内頸動脈系

内頸動脈系の源は総頸動脈です。
左の総頸動脈は大動脈弓から直接分岐し,右の総頸動脈は大動脈弓から分岐した腕頭動脈から分岐します。
総頸動脈が内頸動脈と外頸動脈に分かれます。
内頸動脈は,眼動脈,後交通動脈,前脈絡叢動脈を分岐した後,前大脳動脈と中大脳動脈に分かれます。

椎骨動脈系

鎖骨下動脈から分岐した椎骨動脈は,頸椎の横突孔を通って上行します。
頭蓋腔内に入った椎骨動脈は後下小脳動脈を分岐し,延髄と橋の境界部で左右の椎骨動脈が合流して脳底動脈となります。
脳底動脈は橋の腹側を上行し,前下小脳動脈,上小脳動脈を分岐し,中脳レベルで左右の後大脳動脈に分かれます。

ウィリス動脈輪

内頸動脈系と椎骨動脈系は後交通動脈でつながります。
さらに,左右の前大脳動脈は前交通動脈でつながり,左右の後大動脈は脳底動脈でつながります。
よって輪状につながることになり,ウィリス動脈輪と呼ばれます。
そのつながりは,前交通動脈→左前大脳動脈→左内頸動脈→左後交通動脈→左後大脳動脈→右後大脳動脈→右後交通動脈→右内頸動脈→右前大脳動脈→前交通動脈となります。

図1

主な動脈とその灌流域

まず始めに,以下の図をイメージできるようになることが大切だと思います。

図2

内頸動脈系

前大脳動脈

前大脳動脈全体としては,主に,大脳半球裂内側面から円蓋部の脳表で,前頭葉から頭頂葉までを灌流しています。

中大脳動脈

中大脳動脈全体としては,主に,脳の外側を灌流しており,前頭葉から頭頂葉,側頭葉,後頭葉にかけて広い範囲に及びます。
中大脳動脈から分岐するレンズ核線条体動脈は出血の好発部位です。

中大脳動脈について補足する記事があります。

椎骨動脈系

後下小脳動脈

小脳下面,延髄外側などを灌流します
閉塞によりWallenberg症候群が起こります。

前下小脳動脈

小脳前下面などを灌流します。

上小脳動脈

小脳上面などを灌流します。

後大脳動脈

後大脳脈は,主に,後頭葉底部・外側面,側頭葉の一部を灌流します。
視床膝状体動脈は出血の好発部位です。

参考文献

1)馬場元毅: 絵でみる脳と神経 しくみと障害のメカニズム 第3版. 医学書院, 2012, pp57-61.
2)金子丑之助: 日本人体解剖学第三巻(第18版). 南山堂, 1992, pp92-96.
3)竹内一夫(監修): 標準脳神経外科学(第6版). 医学書院, 1994, pp24.

2020年2月12日 加筆修正
2017年12月27日

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