解剖生理

多関節筋(二関節筋)の一覧

投稿日:2019年10月9日 更新日:

多関節筋の一覧を作ってみました。

多関節筋とは

多関節筋とは,2つ以上の関節にまたがっている筋です。
2つの関節をまたぐのであれば二関節筋で,1つだけなら単関節筋(一関節筋)です。

もう少し正確に多関節筋を定義するため,私は以下のような条件が必要だと考えています。

  • 起始,停止ともに骨に付着している。
  • 起始の骨と停止の骨は別の骨である。
  • 起始と停止になっている2つの骨の間に,別の骨が1つ以上存在する。
  • これらの隣り合う骨の間で関節を形成する(可動性のある骨の連結が2つ以上存在することになる)。
  • その関節に対して作用する。

多関節筋の一覧

日本人体解剖学の筋系の章1)からリストアップしました。
筋名のみの一覧です。

筋は全部で198本あります。
これは曖昧な数字です。
例えば,下腿三頭筋で1つの筋とするか,腓腹筋とヒラメ筋の2つの筋とするかで変わってきます。
感覚器,消化器,呼吸器などの筋は含まれていません。

表情筋などの関節に対する作用がない筋は45本あります。
そして,残りの153本のうち,単関節筋は58本,多関節筋は93本,どちらか判断がつかなかった筋が2本です。

  1. 胸鎖乳突筋
  2. 前斜角筋
  3. 中斜角筋
  4. 後斜角筋
  5. 頸長筋
  6. 頭長筋
  7. 僧帽筋
  8. 広背筋
  9. 小菱形筋
  10. 大菱形筋
  11. 肩甲挙筋
  12. 頭板状筋
  13. 頸板状筋
  14. 腰腸肋筋
  15. 胸腸肋筋
  16. 頚腸肋筋
  17. 胸最長筋
  18. 頸最長筋
  19. 頭最長筋
  20. 胸棘筋
  21. 頸棘筋
  22. 頭棘筋
  23. 胸半棘筋
  24. 頸半棘筋
  25. 頭半棘筋
  26. 多裂筋
  27. 回旋筋
  28. 大後頭直筋
  29. 大胸筋
  30. 小胸筋
  31. 前鋸筋
  32. 腹直筋
  33. 外腹斜筋
  34. 内腹斜筋
  35. 腰方形筋
  36. 上腕二頭筋
  37. 上腕三頭筋
  38. 円回内筋
  39. 橈側手根屈筋
  40. 長掌筋
  41. 尺側手根屈筋
  42. 浅指屈筋
  43. 深指屈筋
  44. 長母指屈筋
  45. 長橈側手根伸筋
  46. 短橈側手根伸筋
  47. 総指伸筋
  48. 小指伸筋
  49. 尺側手根伸筋
  50. 回外筋
  51. 長母指外転筋
  52. 短母指伸筋
  53. 長母指伸筋
  54. 示指伸筋
  55. 短母指外転筋
  56. 短母指屈筋
  57. 母指対立筋
  58. 母指内転筋
  59. 小指外転筋
  60. 短小指屈筋
  61. 虫様筋
  62. 掌側骨間筋
  63. 背側骨間筋
  64. 大腰筋
  65. 小腰筋
  66. 大腿筋膜張筋
  67. 縫工筋
  68. 大腿直筋
  69. 薄筋
  70. 大腿二頭筋
  71. 半腱様筋
  72. 半膜様筋
  73. 前脛骨筋
  74. 長趾伸筋
  75. 第三腓骨筋
  76. 長母趾伸筋
  77. 長腓骨筋
  78. 短腓骨筋
  79. 腓腹筋
  80. ヒラメ筋
  81. 足底筋
  82. 後脛骨筋
  83. 長趾屈筋
  84. 長母趾屈筋
  85. 短母趾伸筋
  86. 短趾伸筋
  87. 母趾外転筋
  88. 短母趾屈筋
  89. 母趾内転筋
  90. 小趾外転筋
  91. 短趾屈筋
  92. 足底方形筋
  93. (足の)虫様筋

補足説明

広背筋と大胸筋は,肩甲上腕関節だけでなく,肩甲骨に対する作用もあるとしました。
肩甲骨に作用する場合,胸鎖関節と肩鎖関節の2つの関節にまたがっていると解釈しました。

長掌筋は骨に停止していませんが,関節への作用がありますので,多関節筋に含めました。

回外筋は腕尺関節と上・下橈尺関節をまたぐのですが,肘伸展の作用はほとんどない2)ようです。

ヒラメ筋は単関節筋とされるのが普通です。
しかし,距腿関節だけでなく,距骨下関節をまたいでいますので多関節筋です(ヒラメ筋の距骨下関節への作用についてはこちら)。

背側骨間筋と底側骨間筋が,趾背腱膜を介してIP関節にも作用するかどうかは,文献3,4)によって見解が異なります。
今回は,IP関節には作用しないと判断し,単関節筋としました。

手根骨や足根骨をまたぐ筋は多関節筋であるとしましたが,手根骨や足根骨に対する作用を詳細には調べていません。

判断がつかなかった筋

大殿筋と梨状筋は股関節と仙腸関節をまたいでいます。
仙腸関節は可動性がないとされることが多いのですが,理学療法では仙腸関節を動かすという治療が行われることがあります。
可動性がないとは言い切れず,今回は判断を保留しました。

おわりに

個人的な興味で作ったもので,どういう場面で役に立つのかは考えていません(笑)。

参考文献

1)金子丑之助:日本人体解剖学上巻(改訂19版).南山堂,2002, pp232-394.
2)嶋田智明, 平田総一郎(監訳):筋骨格系のキネシオロジー. 医歯薬出版, 2005, pp179.
3)越智淳三(訳):解剖学アトラス(第3版). 文光堂, 2001,p137.
4)津山直一, 中村耕三(訳): 新・徒手筋力検査法(原著第9版). 協同医書出版社, 2015, pp483-484.
5)中村隆一, 齋藤宏, 他: 基礎運動学(第6版補訂). 医歯薬出版, 2013, pp213-296.

2020年10月5日
2019年10月9日

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