物理療法

水深と荷重負荷量の関係

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水中での立位では浮力により下肢にかかる荷重が減ります。

各水深(水位)における陸上と比較した荷重の割合はある程度分かっています。

水深と荷重負荷量

まずは Samuelら(1980)による報告です。

  • 下腿最大部:100%
  • 膝上10cm:90%
  • 恥骨:80%
  • 臍:50〜60%
  • 剣状突起:30%

次に小山田ら(1998)による報告です。

  • 下腿最大部:89.3% ± 4.2
  • 膝上10cm:79.7% ± 5.3
  • 恥骨:67.4% ± 5.8
  • 臍:49.5% ± 5.4
  • 剣状突起:30.2% ± 5.1
  • 鎖骨:9.6% ± 3.3

2つの報告を比べると,下腿最大部,膝上10cm,恥骨で数字が大きく異なります。
Samuelらの報告の原著は読めていませんし,小山田らの報告は抄録のみですので,詳しいことは分かりません。
こららの数字はあくまでも目安であると考える方がよさそうです。

浮力について

ついでに浮力について復習しておきましょう。

浮力は,液体や気体の中にある物体に鉛直上向きにかかる力です。
以下,水の場合で説明します。

浮力を決める要因は,水の密度,水中にある物体の体積,重力加速度です。
つまり,浮力は,水中にある物体の体積分の水の重さに等しいということです。

重力は下向きの力で,浮力は上向きの力です。
物体にかかる重力が浮力よりも大きければ沈んでいき,逆であれば浮かんでいきます。

さて,体脂肪は比重が小さい(水よりも軽い)ので,体脂肪率が高いとより大きな浮力がかかると思っている人が多いのですが,それは間違いです。
体積が同じで,体脂肪率が違うとしましょう。
体積が同じであれば,かかる浮力は同じです。
体脂肪率が高ければ,同じ体積でも質量は小さくなり,重力による下向きの力は小さくなります。
浮力に対して,下向きの力が小さければより浮きやすいということになります。
浮力が大きくなるから浮くのではありません。

浮力と重力を合わせた力(合力)が上向きであるときに,その合力を浮力と誤って認識しているとも言えるでしょう。

参考文献

1)小山田耕太郎, 小倉信作, 他: 人体の各水深における荷重負荷の測定. 理学療法学. 1998; 25: 627.
2)杉元雅晴: 水治療法, 理学療法ハンドブック改訂第4版第2巻. 細田多穂, 柳澤健(編), 協同医書出版社, 2010, pp813-854.

2020年4月29日

-物理療法

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